第一種低層住居専用地域における建蔽率40%規制は必要なのか。用途地域等の都市計画の適正な見直しについて 令和6年6月議会一般質問②-③
こんにちは。
西宮市議会議員の坂本龍佑です。
日銀総裁の利上げ発言以降、円高と株安が止まりませんね。
つくづく、お金の価値というのは、不確定なものなのだと感じさせられますね。
とはいえ、自由な経済活動を促進していくことが、明日の世界、日本の成長に繋がっていくのだと信じたいですね。
さて、本日は6月の一般質問の報告の続きです。
この用途地域等の都市計画の適正な見直しについては、全部で4回に分けて書いておりますので、詳しくは下の記事もご覧ください。
動画もアップロードしておりますので、併せてご覧ください。
前回は中津浜線の用途地域についてでしたが、今回は第一種低層住居専用地域という最も規制の厳しいエリアにおける規制の正しさについての報告です。
まず、、
第一種低層住居専用地域って聞いたことありますか?
先にも触れましたが、用途地域において、最も厳しい住宅エリアの規制が、第一種低層住居専用地域です。
では、どういう風に厳しいのかというと、、
行政によっても規制の厳しさというのは異なりますが、
高さは10m(12m)まで!
建ぺい率は50%、容積率は100%まで!
敷地境界から建物は1m以上離すこと!
店舗の床面積は50㎡以下!
みたいなものが分かりやすい規制かなという風に思います。
イクラ不動産さんが書いている下記の記事が非常に分かりやすいかなと思いますので、参考にしていただければと思います。
このように最も厳しい法規制のもと、良好な住環境を守っていこうというのが、第一種低層住居専用地域の目的と言えるでしょう。
私も西宮市が文教住宅都市としてこれからも住みたい街であり続けるために、必要な規制だと考えております。
しかし、仮にこの規制によって、空き家を誘発しているとすると、どう思われますか?
ということが、このテーマを扱った理由です。
空き家を誘発している??
良好な住宅地を守るための規制が??
と思われる方も多いと思うので、順を追って説明していきたいと思います。
この規制が空き家を誘発していると考えられる理由が建ぺい率です。
ん?建ぺい率?
また良くわからない言葉が出てきた。
という人のために説明すると、建ぺい率とは、、
建ぺい率とは、「その土地に、どれくらいの広さの一階を取れるか」の割合を示したものです。
ですから、100㎡の土地に建ぺい率が50%とすると、1階50㎡ 2階50㎡となり、合計100㎡の延床面積の戸建が建築できるということになります。(あくまで単純計算です。)
100㎡の土地に建ぺい率が60%とすると、1階60㎡ 2階60㎡となり、合計120㎡の延床面積の戸建が建築できます。
なんとなく、土地探しをしたことがある方や、戸建を建てたことのある方はピンとくると思うのですが、
この建ぺい率が何%かによって、どのような戸建が建つのか、大きく影響を受けるということがわかります。
では、この建ぺい率の規制がなぜ空き家を誘発しているということになるのかというと、
第一種低層住居専用地域の中で建ぺい率が40%に指定されているエリアがたくさんあるんです。
西宮市の中でどういうエリアがこの建ぺい率40%に指定されているかというと、夙川駅の北西側や甲東園駅の西側、仁川駅の西側などがこれに該当します。
高級住宅街なのかなという印象を持っている方も多いかと思います。
そうですね。大きなお屋敷もたくさん並んでいます。
このようなエリアには大きな土地に大きな戸建が建っていることが多いのですが、当然そんな土地ばかりではありません。
100㎡を下回るような土地もたくさんあるんです。
土地面積が100㎡というのは、全く狭い土地の面積ではありません。
しかし、先ほど申し上げたような建ぺい率40%のエリアでは、非常に狭い土地の面積ということになるのです。
例えば、100㎡の土地に建ぺい率が40%とすると、1階40㎡ 2階40㎡となり、合計80㎡の延床面積の戸建が建築されます。
お気づきの方も多いかと思うのですが、80㎡の戸建は現在の不動産マーケットの面積からすると、少し小さいという印象を持たれます。
逆算すると、100㎡の土地が売りに出ていても、80㎡の戸建てしか立たないんだったら、買っても仕方ない。
↓
売れない。
↓
空き家のまま置いておこう。
みたいなことになる可能性が高いのです。
良好な住環境を守っていこうと思って、建ぺい率40%に設定しているのに、空き家を誘発しているのでは、本末転倒ではないでしょうか。
気になる方はsuumoやアットホームなどのポータルサイトで土地を検索してみていただければと思いますが、大阪市内だと50㎡、60㎡の3階建てなんていうのはザラにありますし、80㎡ぐらいあれば、十分にファミリー世帯の戸建が建てられる地域がほとんどです。
しかも、高級住宅地と言われるエリアにおいても、建ぺい率50%の第一種低層住居専用地域はたくさんあります。
では、建ぺい率40%を50%に緩和することで、良好な住環境は守られなくなるでしょうか。
私は全くそうは思いません。
それよりも、救われて流通する土地があるほうが、空き家対策の面でも間違いなく有効だと感じております。
実際に、神戸市では建ぺい率が100㎡以下の狭小土地については、市への相談によって、建て替えを救済するという措置をとっており、西宮市でも参考になると感じております。
これらを踏まえて、質問しました。
坂本の質問
夙川駅の北西側や仁川駅の西側の第一種低層住居専用地域については、建蔽率40%を50%することによって、今の街並みを守りながら、実際の需要に近い規制になると思いますが、市の見解をお聞かせください。また、全ては難しくても、100㎡以下のみの土地の規制緩和についても見解をお聞かせください。
市の回答
当該地域の第1種低層住居専用地域については、大半が第3種風致地区に指定されています。風致地区を含む第1種低層住居専用地域の建蔽率は、基本的に風致地区の基準の40%としております。この良好な住環境の保全のため、当該地域の建蔽率等の緩和については慎重な検討が必要であり、現状維持が望ましいと考えております。
ということで、全くのゼロ回答となりました。
この第3種風致地区というのは、別名六甲山風致地区とも言われ、芦屋市や神戸市東灘区でも同様の規制が見られます。
私の主張は良好な住環境の保全と建ぺい率40%は合致しないし、これを緩和しても良好な住環境は守られるという考え方ですが、なかなか理解してもらえなかったようです。
空き家や人口減少社会の中で、新しく山を切り開いてニュータウンを作るというような時代ではなくなってきていることは言うまでもありませんが、空き家は連鎖していくことが常識になってきております。
そうした中でどのようにして空き家を発生させずに、その土地を利用したいという人に循環させていくかと言うのは、非常に重要な課題です。
もちろん土地を子、孫の世代に受け継いでいくと言う選択もありますが、そうでないのなら流通させて、西宮市に住みたいと思う人がそこで家を建てて暮らすような法制度、税制度、都市計画にしていくことが必要だと思います。
また、以前に会派ぜんしんのたかの議員が触れられていましたが、風致地区で戸建を建築した後に、カーポートを作って建ぺい率違反をしていたり、緑化率30%を維持しないといけないのにウッドデッキを作っているということに対して、厳しい対応をすることも必要だと思います。詳しくは↓
https://ameblo.jp/takanostyle/entry-12821470367.html
実際に求められている街並みと、法規制の乖離がないかについて、常に検証を重ねながら、適切な用途地域、風致地区の規制を検討してもらいたいですね。
今回は、第一種低層住居専用地域の建ぺい率の緩和に関する報告でした。
なかなかいい回答が得られないことも多いですが、今後もめげずに理想のまちづくりを追求していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!