障害者差別に繋がりかねない障害福祉サービスの国庫負担基準額は改めるべき

こんにちは。

西宮市議会議員の坂本龍佑です。

今回は、10月11日の健康福祉常任委員会で所管事務調査として行われた障害福祉サービス費についての報告です。

ことの発端は、9月24日の決算特別委員会健康福祉分科会です。

私は、障害福祉サービスが西宮市の財政に大きな影響を与えていることに着目し、この点について質疑をしました。

質問は次の通りです。

坂本
障害福祉サービス(訪問系サービス)における「国庫負担基準額」の設定により、市町村の超過負担が生じていると聞いているが、令和5年度の本市における超過負担の金額と割合はどのぐらいになるかお答えください。
市の回答
障害福祉サービスにかかる費用負担は、国負担50%、県負担25%、市負担25%とされています。
しかしながら、令和5年度においては、障害福祉サービス費約120億9,400万円に対し、本市の負担は約42億100万円となっており約35%を負担し、超過負担額は約11億7,700万円となっています。

ということでした。

超過負担が11.7億円!

です。

財政構造改善で、40億円の改善を目指すといっているうちの、30%に当たる財源が出ていることになります。

私は、これが障害者差別にもつながりかねないと言って問題視しました。

その結果、松山委員長が、所管事務調査権を行使して、担当課から説明を求めた結果、今回の委員会に繋がったということです。

それを踏まえて、市から提示された資料がこちら!

こちらの報告内容をまとめると、西宮市では、以前より重度障害を抱える人に対して、手厚いサービスを手掛けてきた結果、近隣他市に比べて、重度障害を持った方に選ばれ、多くの方が居住するようになった。

そして、直近の令和元年度から5年度を見ても、市の負担は毎年増加しており、直近5年で1.7倍になっている。

近隣市の重度訪問介護サービスの支給の状況と比較してみると、次の表の通り西宮市の支給決定数は、人口比で突出している。

さらに、一人当たり平均利用時間数を見ても、突出して高い利用時間となっている。(重度の方の利用が多いことの表れ)

そして、本来障害福祉サービス費は 1/2 の国庫負担金と 1/4 の県費負担金が市に交付されるが、訪問系サービス(重度訪問介護・居宅介護・同行援護・行動援護)に国庫負担基準が設けられていることで市に超過負担額が生じ、市の財政を圧迫する大きな原因となっている。

(国庫負担基準とは)
国庫負担基準とは個人のサービスの上限ではなく、市町村に対する国庫負担(精算基準)の上限である。障害福祉サービスにおける訪問系サービスの国庫(県費)負担はそれぞれの利用者単位で国庫負担の上限が設定されている。このため、利用者全員の総サービス支給額に対する負担ではなく、利用者ごとに国庫負担(精算基準)を積み上げたものが国の負担額の算定基礎となり、各利用者の基準を超えた差額は市が負担している。

国庫負担基準額というものが、定められておらず、国が1/2、県が1/4、市が1/4という負担をした場合の市の負担額が、約11.3億円なのに対し、国庫負担基準額が定められていることで、市の負担額が23億円になる。

そして、その差が、11.7億円で、次の表の通りとなる。

こんな感じの内容です。

皆様これについてどう思いますでしょうか。

私は、仮にこれが市の過剰サービスによる結果なのだとしたら、それは市民サービスを行った結果ですので、何ら問題はないと思うのです。

しかし、医療的ケアが必要な方が在宅生活するには、1日24時間の重度訪問介護の支給決定が必要であるが、仮に国の国庫負担基準の範囲内の支給決定なら1日8〜9時間程度となる。

とされております。

しかし、仮に西宮市がこの支給決定を無視し、1日8〜9時間のみのサービスとすることを決定することは、法律違反であり、全国的にも訴訟に発展していることから、困難であると答弁されております。

ということは、西宮市にサービスを抑制するという選択肢はないということになります。

とすると、重度障害サービスを受ける方に対して、せっかく良いサービスを提供している西宮市が選ばれれば選ばれるほど、市の財源は減少していくということになります。

話は変わりますが、この財政難の状況下において、西宮市は様々な行政サービスの見直しに着手しております。

その内容は、高齢者福祉サービスから、公園の除草、警備、学校の修繕計画など多岐に渡ります。

しかし、財政改善を目指す40億円のうち、30%にあたる12億円が、障害福祉サービスの国庫負担基準額の設定による西宮市の自己負担が多いことが理由だとすると、どう感じるでしょうか。

極端な話ができるだけ障害者に住んでほしくないと感じる方もいらっしゃるでしょう。

そうすると、これは障害者差別を助長する可能性もある制度ではないでしょうか。

私は、国がなぜこの国庫負担基準額を設けているのかについて質問したところ、次のような回答がありました。

国も、明確な回答はないんですけれども、国資料とかでよく出てくるのは、やっぱり国の財源に限りがあるためというふうなところが書かれてますので、国庫負担と言いながら財源があるので、国庫負担基準をつくってある程度上限 を定めているのではないかというふうに推測はできます。

国の財源に限りがあるからという理由で、国庫負担基準額が決められてしまうなんてことがあっていいのでしょうか。

福祉や教育の分野では、国、県、市の負担割合が決まっているということがたくさんあります。

しかし、財源論だけでそれを片付けるのであれば、西宮市だって財源がないから、「市の財源に限りがある」って国に返すべきです。(暴論なのはわかっています。)

とはいえ、西宮市としても、国に対する要望活動を行っていると聞いております。

市長や担当の課長から厚労省に対して問題点をしっかり説明し、改善に繋げてほしいですね。

私も自民党の議員として、やまだ賢司衆議院議員に国会に戻っていただき、この問題を取り上げていただけるようにするためにも、しっかり選挙の協力をしていきたいと思います。

本日は、西宮市の障害福祉サービス費の課題に関する報告でした。

福祉のことは元々得意分野ではありませんでしたが、「福祉にお金は必要」「扶助費に予算は必要」ということで思考がストップせずに、どうすれば少ない予算で市民の福祉サービスを向上し、満足度を高めていけるのか考えて取り組んでいきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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