西宮市の財政ってどうなの?④ 財政構造改善実施計画について (歳入編)
こんにちは。
西宮市議会議員の坂本龍佑です。もう2024年も終わりですね。
12月26日で32歳になりました。29歳で政治活動を始めてから3年の月日が流れたと考えると、まだ3年かという気もしますが。
たくさんお祝いのコメントもいただきまして、感謝感謝です。
さて、パブリックコメントの期限が過ぎてしてしまったのですが、財政高校改善実施計画に関する私見の後半部分について書いていきたいと思います。
- 基本姿勢
- 取組内容
- 市有地の売却等
- 施設使用料等受益者負担の適正化
- 廃棄物処理手数料の見直し
- 水道料金、下水道使用料福祉減免制度の見直し
- 基金等の運用方法の見直し
- ふるさと納税の取組強化
- 歳入部分に関する総括
前半をご覧になっていない方、西宮市の財政ってどうなのシリーズをご覧になっていない方は、次のブログをご覧ください。
基本姿勢
計画の基本要素となる基本姿勢の4つについて、確認してみます。
・市の独自施策のうち、継続的な実施が困難な事業や、市の直営で実施する意義が薄れている事業を抜本的に見直す
・職員の働き方改革を進め、DXを積極的に推進する
・連鎖的に相乗効果が生まれるように事業の取捨選択や効率化を図る
・まちづくりに関する施策・事業は、財政収支の改善を優先しつつ、厳選して実施する
基本的に、普段からやってください。という内容なのですが、評価すべきはまちづくりに関する施策・事業は厳選して実施するというところです。
これまで、財政難になると、大規模公共事業をストップするという傾向にありました。
その影響で、学校の増改築が進んでいなかったり、区画整理や駅前の再整備が進んでいなかったり、という傾向が見られます。
今回の財政構造改善でまた同じ失敗をしない意味でもこの着眼点は評価されるべきです。
そして、これらの取り組みによって、2029年度までに収支均衡を目指すというのが基本的な姿勢です。
取組内容
さて、本題の取組内容です。
詳しくはこちらの取組内容及び効果額をご覧いただければと思います。(リンク)
またこちらは、各取組の見直し内容を補足した資料ですので、併せてご覧ください。(リンク)
まずは歳入についてのお話です。
市有地の売却等
財政効果:R6年〜R10年 64億9700万円
まずは、歳入増の取り組みとして、市有地の売却、貸付収入の増です。
以下の表は日本維新の会の浜口議員の資料から引用させていただきました。
このように市営住宅の跡地や幼稚園、保育園の跡地などが目につきます。
私は市有地の売却をする場合、早ければ早いほうがいいと思っています。
将来的に利用する可能性があるから残しておくという考え方は、その土地が唯一無二のポテンシャルがある場合を除いて望ましくありません。
なぜなら、行政が土地、建物を所有していても、管理コストがかかるだけで、なにも財源を生み出しませんが、売却した場合、固定資産税等の税収が入るからです。
固定資産税の評価額に対する課税標準額は1.4%であり、都市計画税の0.3%と合わせると、資産額の1.7%が固定資産税、都市計画税として、納税されます。
仮に、将来利用するかもしれないという理由で、その土地を10年管理しておくと、資産額の17%の税収を失うということになります。さらに、そこに民間が建物を建てるとその分の税収も入ります。
そういうと、将来の行政機能のための用地がなくなるじゃないか!という方もいらっしゃるかと思います。
ですので、市役所の隣地や、行政機能が集積している場所の隣地のような土地は売却せずに他の運用をしておけばいいのです。
また、それでも行政用地がない場合は購入すればいいですし、そもそも人口減少社会の中で、これから行政の用地が新しく必要になる可能性は非常に低いでしょう。
ということで、これらの土地売却による売却益として、約65億円を見込んでおります。
これは、この度の財政構造改善の取り組みのうちの歳入・歳出効果額の約174億円のうちの37%を占めております。
それだけに早期に高額で売却できるように、私も不動産会社での経験を活かして助言していきたいと思います。
施設使用料等受益者負担の適正化
財政効果:R6年〜R10年 9000万円 R11年 2500万円
次に、注目したいのが、施設使用料等受益者負担の適正化です。
要は、公共施設を利用する人の負担を増やしますよという趣旨です。
今回の12月議会でもたくさんの施設使用料の見直しに関する報告がありました。
いくつかの施設で使用料が上がるということは、市民の皆様にも大きな影響を与える変更です。
12月定例会で報告されたものを列挙すると、
・地区市民館・船坂里山学校・芦乃湯会館・若竹生活文化会館・勤労福祉センター・運動施設・公民館・市民ホール・ギャラリー・総合福祉センター
などなどです。
これらの施設の使用料が最大で1.5倍になります。
近隣他市と比較すると、安価に抑えられていたことや物価高騰の影響も踏まえるとある程度は公共施設の使用料を上げなければならないことは理解します。
しかし、設使用料への転嫁という行政サービスの悪化を求めるなら、きちんとした価格決定プロセスを踏むべきと思いますが、現在の施設使用料指針(リンク)は行政の恣意的な目標稼働率の設定によって、使用料を調節できるものとなっており、納得のいくものではないことから、今後改正を求めていきたいと思います。
廃棄物処理手数料の見直し
財政効果:R6年〜R10年 6億1800万円 R11年 2億600万円
令和8年度のごみ分別区分見直しに合わせて、事業系可燃ごみ、事業系不燃・粗大ごみ、生活系粗大ごみ等の処理手数料を見直すことが発表されました。
これによる財政効果は年間約2億円と見込まれております。
現在の処理手数料を近隣市と比較してものが、次の表です。
市の提供のデータによると、現在の金額が上記の通りとなっておりますが、西宮市では事業系の可燃、不燃、粗大ごみをそれぞれ130円/10kgに変更する予定ですので、近隣自治体と比較しても、最も高い水準となる見通しであり、事業者の皆様には事業環境の変化も大きい中で、過大な負担をお願いすることになりそうです。
ただ、このデータを見ると、生活系の可燃、不燃ごみの0円というのは他市と比較すると適正水準とは言えないかもしれませんが、現在のところ見直しは発表されておりません。
尚、生活系のゴミ回収については、持ち込みに対して手数料を受け取るべきということで、毎日のゴミ回収の金額を上げるべきと考えているわけではありませんので、誤解なきようお願いします。
水道料金、下水道使用料福祉減免制度の見直し
財政効果:R6年〜R10年 2億5200万円 R11年 1億5100万円
次に、市民の皆様に影響の大きいことが予測されるものが、水道料金、下水道使用料福祉減免制度の見直しです。
水道料金及び下水道使用料の福祉減免制度は、身体障害者手帳 1 級・2 級、療育手帳 A、精神障害者保健福祉手帳 1 級、身体障害者手帳 3 級と療育手帳 B1 の両方の所持者、家族介護慰労金の受給者がいる世帯を対象として、申請に基づき、1 か月で基本料金と 10 ㎥までの従量料金を減免しているというものです。
令和 6 年 4 月 1 日時点では対象者数 8,386 人のうち、申請者数は 6,615 人で対象者の 79%が申請しており、減免実績は令和 5 年度では、約 1 億 5100 万円となっている。
これに対して、令和 8 年度より減免を見直し、従量料金の全額と基本料金の半額の減免を廃止(基本料金の半額のみ減免)する。令和 11 年度以降は、福祉減免制度を廃止する予定ということです。
県内の実施状況は、本市以外に 3 市町。
ということで、障害をお持ちの方に対する水道の料金減免がなくなるという話でした。
兵庫県内で実施している市が3市町ということですから、西宮市では手厚く障害者の経済的な負担を軽減してきたということです。
ただ、今回の財政構造改善において、他市よりも手厚いサービスを見直さざるを得ないということですね。
もちろんあるに越したことがない制度ですが、兵庫県下のほとんどの自治体で実施していない政策であることを踏まえると、一旦立ち止まることは必要ではないかと思っています。
とはいえ、完全なサービス減ですから、本当に他に削るところがないのかを考えてほしいですね。
基金等の運用方法の見直し
財政効果:R6年〜R10年 3億3400万円 R11年 7500万円
基金を積極的に債券運用するとともに、利率の良い定期預金に預入を行い、運用益の増額を図ることによって、財源を確保していこうと言うことです。
これによる財政効果が年間7500万円にもなるというのは驚きでしたし、私も元々そういう視点を持っていなかったと反省しておりますが、とてもいいことですね。
基本的には相当安全な資産の運用ですから、投資による損失が出ないということは言うまでもないのですが、こんなにも財源が増えるなら、優秀な投資家を1人雇っても全然メリットあるんじゃないかと思わされますね。
一方、行政の収支は単年度制ですから、基金が貯まりすぎるということは、納税した方が納税した分の受益をできていないと言うことですから、本来は一律に望ましいとは言えないのですが。
家計や会社で言ったら、貯金や内部留保があるというのはいいことじゃないかと思われるのですが、ここが難しいところですね。
ふるさと納税の取組強化
財政効果:R6年〜R10年 2億1500万円 R11年 1億1500万円
ふるさと納税については、現在約1.8億円程度の歳入となっているのですが、これをR11年には約3億円まで増やしていこうという算段になっております。
ただ、これについては会派ぜんしんのしぶや議員が触れておられましたが、ふるさと納税の流入の増加は見込んでいるのに、流出の増加は見込んでいないと言うことです。
40億円の収支改善目標というのがどこまで精緻を追い求められるのかは、国や県の動向にも大きく左右されるので、難しいですが、これは近年の流出額の伸びを計算に入れておかないといけない気はしますね。
とは言え、地域産業の発展とも大きくリンクしてくる話ですから、しっかりと取り組みしてほしいですね。
歳入部分に関する総括
歳入部分については、以上です。
他にもR6年〜R10年の累計ですと、
市営住宅駐車場の契約率向上で3200万円。
特別養護老人ホーム等の土地貸付料の見直しで7700万円。
ごみ選別による資源売却収入の増で2億1000万円。
都市整備公社出資金の返還で2億円。
といった多岐にわたるものがございますが、市民サービスに影響がないのに見直せていなかったものが結構な数と額になるんですよね。
今回見直せたことをプラスに捉えるのも必要ですが、そもそもなんでもっと前から見直せなかったんだと思う点もありますし、その点について指摘できていなかったというのも議員として反省しなければいけないですね。
ということで今回は財政構造改善の歳出に関する私見を書きました。
次こそはこのシリーズを最後にしたいと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました!