当初予算が否決されました。啓誠会の反対理由は?
こんにちは。
西宮市議会議員の坂本龍佑です。
令和7年3月21日。
西宮市制施行100周年を目前にして、初めて当初予算が否決されました。
私の所属する啓誠会は反対しました。
会派ごとの賛否は次のとおりです。(継承略)
賛成17:公明・市民クラブ・一色・佐野・村上・よつや
反対23:啓誠会・維新・ぜんしん・共産・森
会派を代表しまして、反対討論を行いました。
なぜ反対したのか
最も大きな反対理由は、石井市政の議会とのコミュニケーション不足です。
代議制民主主義において、丁寧な説明と合意形成は市民を尊重するために不可欠でありますが、我々が懸念を示していることに対しても、事前に説明なく予算を計上し、物事を進めていく姿勢は看過できません。
これは財政構造改善の取り組み方においてもそうですし、個別事業においても同様ですが、今回具体的に示した反対の理由は次の5点です。
- 部活動の地域移行
中学校部活動の「プレみや」への移行について、議会への説明が不十分であり、費用や場所、指導者確保などの懸念が払拭されておらず、市民の不安に応えられない状況です。 - 子供の人権のための第三者機関の設置
既存の児童相談所や子供家庭センターの活用を広報せず、新たに年間3000万円の一般財源を要する機関を設置する方針に対し反対であり、検討費を計上していることは看過できません。 - 新図書館の整備
民間委託を前提とした整備計画について、再開発事業の進行に合わせて再度予算化すべきであり、現段階での債務負担行為の設定は時期尚早と考えます。 - 病院統合に伴う給与補償
統合新病院への移籍職員の給与補償に関して、市単独負担で4.6億円を計上する方針は、財政難の中で市民への説明責任が果たされておらず、再検討が必要です。 - 就学前児童応援給付事業
1人当たり5000円分の電子マネー給付に対し、事務費が20.6%と非常に高額であり、効率的な予算執行をするという意識が欠落していることから、見直す必要性があります。
と、こんな感じです。
更に具体的な反対理由については、原稿の全文を末尾に記載しておりますので、ご覧いただければと思います。
そして、今後の予定として、26日に臨時会が開かれ、修正案が上程されることになりました。
我々の指摘した項目がどの程度修正された案が上がってくるのかは不透明ですが、その内容によって、26日の賛否が決まってくるものと思いますが、少なくとも市民の皆様に影響がないようにするためには、主張が反映されたものでないと承認できませんので、その点についてはよく考えて提案してほしいと思っています。
またその点もご注目いただければと思います。
反対討論全文
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啓誠会は議案第305号 令和7年度一般会計予算に反対いたします。
地方議会における当初予算案への反対。
西宮市政100年の歴史において、当初予算が否決されたことがないことを踏まえると、非常に重い決断です。
しかし、そうまでしなければ石井市政は議会との対話。ひいては市民との対話の必要性について理解していただけないのかという残念な思いであります。
順に、具体的な反対理由について説明いたします。
まず、西宮で青春時代を過ごす中学生にとって、重要な経験である部活動の地域移行について。
本年1月25日の市政ニュースにおいて、令和8年9月から西宮市の中学校部活動は「プレみや」に移行という記事が出ました。
しかし、地域移行に関する議会への報告はなく、市民から問い合わせに答えることができませんでした。
こんなにも大事なことを議会に説明せずに進めていく姿勢は、市民の不安を増大させており、議会軽視と言わざるを得ません。
その後、本定例会で初めて所管事務報告がありました。
しかし、費用負担や場所、指導者確保をはじめとする諸問題の懸念が払拭されることなく、理想論だけで突き進んでいるという印象を拭いきれません。
国の示す方針である以上、現在の部活動のあり方は変わっていかなくてはなりません。しかし、懸念を払拭できないまま、議会との対話もせずに進めていくという方針は不適切であり、そのための予算に対して、賛成することはできません。
次に、みやっこつながり支える条例に基づく、子供の人権のための公的第三者機関の設置について。
この機関は、子どもの意見を聞くための役割が期待されていますが、既存の相談窓口である児童相談所、新設される子ども家庭センター、地域、NPO法人等の活用が十分に広報されておらず、既存の窓口ではその機能が果たせないという理由も不明です。
また、この財政が厳しい時に、国の交付税対象でもない、一般財源で年間3000万円かかる新たな機関を設置する方針には断固として反対であります。
そして、みやっこつながり支える条例も含めた検討や広報のための予算159万円が計上されていることについて賛成することはできません。
次に、阪神西宮駅北側に整備予定の新図書館についてです。
民間事業者と区画整理を進め、再開発することに反対する意図はありませんが、施設総量の縮減を基本方針としている本市において、新たに公共施設を整備する際には、慎重に検討しなければならないと考えております。
また、予算分科会では、新図書館を整備する場合には、蔵書管理も含めて指定管理者制度を導入すると答弁されました。
一方、令和7年度の予算においては、図書館に関する専門的な知見を有する民間事業者への委託費が含まれております。ただ、令和8年度、9年度の債務負担行為として提案されている内容は、区画整理、市街地再開発事業の手続きに合わせて改めて予算化することが望ましいと考えており、現段階での債務負担行為の設定については時期尚早と考えます。
次に、兵庫県と市立中央病院の病院統合に伴い、統合新病院で勤務を希望する職員への現給保障について。
統合新病院で働く職員は県の職員となりますが、多くの職員は給与が減額することから、その現給保障として、令和8年度から12年度にかけて約4.6億円の債務負担行為が計上されています。
この件につきましては、昨年の会派代表質問におきましても県との負担協議を強く求めておりました。にもかかわらず、このたび、市単独の負担により減給補償が提示されております。
統合病院で勤務を希望する職員には、県に医療職として移籍する場合と市に事務職として残留する場合の選択肢がありますが、県への移籍を選択し、減給となる職員に対しては、現在の給与水準を3年間は100%保証し、4年目、5年目と徐々に経過措置を減額させる方針となっております。
予算分科会において、県の医療職の給与水準よりも低い給与を市の事務職として残る職員に提示していることは明らかになったものの、組合交渉中であることを理由として、明確な給与水準について回答を得ることができませんでした。
しかし、移籍する場合と残留する場合の給与水準の差異がわからないのに、議会はどのようにして現給保障の必要性が判断できるのでしょうか。
そもそも中央病院で医療職に就いておられる職員は、その仕事に誇りを持っているでしょう。やりがいを持っていることでしょう。
現在組合交渉において、県の医療職の給与水準よりも低い給与を市の事務職として残る職員に提示していることを踏まえると、給与補償がなくても県の医療職として残ることを選ぶと考えるのが自然だと感じます。
ましてや、6年も前に統合再編基本協定を締結して計画を進めてきたなかで、さらに5年もの間、現給保証をする必要性については市民に対する説明責任は不可欠と考えます。
また、議会から見るとこの労使交渉における不透明さは、不信感につながることから、今後の進め方については、見直しが必要であります。
そして、現在の財政難の状況において、ただでさえ、病院統合においては、当初の想定を上回る費用負担が生じている状況であることも踏まえると、病院の職員団体と再度労使交渉を行うべきと考え、現時点でこの債務負担行為の設定に賛成することができません。
最後に、就学前児童応援給付事業についてです。代表質問でも触れましたが、この事業は国の交付金を活用し、就学前児童を対象に児童1人当たり、5000円分の電子マネー等を給付するものですが、事業費に対する事務費が20.6%と非常に高額です。
毎年の恒例となっている国の補正予算における市の事業選択は、市民生活を支える上で非常に重要ですが、20%という高額な事務費を選択するところに、効率的に予算を分配するという意識が欠落していると言わざるを得ません。
就学前の児童を抱える家庭に対する経済的支援を否定する意図はありませんが、適正な事務費の割合でないことから賛成することはできません。
以上、5つの項目についてそれぞれ反対する理由を述べました。
財政構造改善の中、事業の取捨選択が求められる状況です。
個別の議論については、議会内でも様々な議論があろうことと存じます。
ただ、それ以前にもっと大局に立ち、大きな項目別における他市との予算配分の違いなどを把握することで、優先順位をつけ、本当に必要な事業に対して、予算配分することが必要です。
そして、改めて一番の反対の理由は議会との「コミュニケーション不足」であります。
代議制民主主義である以上、議会に対して丁寧に説明を行い、合意を得るということが市民を大切にすることと同義なのだということは言うまでもありません。
何も密室会議を推奨するわけではありません。
西宮市議会では休会中であっても、所管事務報告ということで、議会に意見を求めることができる仕組みになっております。
議会で反対意見が出るのでは。
議会で様々な議論があるのでは。
といったことに対する準備や想定が不足したまま、議会とのコミュニケーションをとらず、条例案や予算案を提示した結果が今回の予算に対する賛否態度であることはよくご理解いただき、今後の議会とその先にいる市民との向き合い方を改めない限り、予算案を承認するわけにはいかないということを申し上げて、反対討論といたします。
以上、ご清聴ありがとうございました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
拝読しましたがまさに一番の反対の理由は議会との「コミュニケーション不足」と感じました。それぞれとても大切な事案であるにも関わらず、コミュニケーションをとる機会があったと思われる中でこのような結果を招いたのかは、石井市政の姿勢そのものと感じました。このような姿勢では今後のかじ取りはとても難しいと感じております。議会としても更なるご決断を求めたいと思います。
ありがとうございます。
代議制民主主義である以上、議会の意見を聞くことは市民の意見を聞くことと同義だと思います。
議員も市民の代表である自覚を持たなければなりませんが、市長を含め、市当局には議会との対話の重要性について、ご認識いただき姿勢を改めていただきたいですね。
私は西宮市住民ではなく大阪市民です。
以前に、坂本議員と現市長とのやり取りをYouTube番組で拝見しました。
第一印象は、市議会議員の意見など「聞く耳持たぬ」と思っている様に私の目には映りました。
もしかして、市議会議員だけではなく市民の意見も聞く耳持たない市長なんではないでしょうか。
いずれにしても、急速な財政悪化にもかかわらずその対策を先送りしている姿勢と併せて大いに糾弾すべしと思います。
ありがとうございます。
今回の予算否認の最大の要因は議会とのコミュニケーション不足ですが、そもそも財政悪化している状況における事業のスクラップアンドビルドが不十分です。
議会との対話なくして、政策実現はないことを心していただき、修正案を提出してもらいたいですね!