住宅流通のために空き家に対して新税を導入しては?令和6年12月 一般質問① 住宅流通促進のための空き家対策について

こんにちは。

西宮市議会議員の坂本龍佑です。

質問してから、半年近く経過してますが、12月議会の一般質問の報告です。

そうこうしているうちに、6月議会を始まっているのですが、ちゃんとブログに残しておきたいので、前の話になりますが、ご容赦ください。

【空き家税・解体補助・所管移管】流通を促す空き家対策を西宮市でも

今回の報告は、「住宅流通促進のための空き家対策」に関する提案と、それに対する市当局・市長の答弁についてです。

ご存知の通り、全国的に空き家問題が深刻化しています。防犯・防災・景観といった地域の生活環境への悪影響はもちろん、所有者不明や適切な管理がなされていない物件が年々増加し、行政としての対応も限界を迎えつつあります。

国は2023年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を改正し、自治体に対する新たな権限を与えました。しかし、法改正だけで状況が一変するわけではなく、地方自治体それぞれが実情に応じた戦略的な対策を講じることが求められています。

西宮市も例外ではありません。空き家の増加とともに、私たちの「住みたいまち」としての魅力が徐々に揺らぎかねないという危機感があります。そこで、「空き家をどう減らし、どう流通させるか」という視点から、西宮市にふさわしい対策のあり方を提案しました。


目次

  1. 空き家対策は「環境問題」から「住宅政策」へ
  2. 京都市の「空き家税」に学び、西宮でも新税導入を
  3. 解体補助制度の導入で流通と安全性を両立
  4. 支援法人制度・広報強化など小さな一歩も着実に
  5. 今こそ住宅都市・西宮の未来を見据えた一手を

空き家対策は「環境問題」から「住宅政策」へ

現在、西宮市の空き家対策は環境局が所管しています。これは「危険な空き家の排除」という視点からのアプローチであり、一定の合理性はあります。

しかし私が問題提起したのは、「空き家対策は住宅政策として、都市全体の持続可能性を高める施策として捉えるべきではないか」という点です。

実際、西宮市では空き家が2万3,880戸存在し、旧耐震基準の建物が約19%を占めるというデータもあります。放置すれば災害リスクや景観悪化、市の価値低下にもつながります。

当局からは「都市局との所管替えについて検討を進めている」との答弁があり、今後の組織的な体制強化に期待が持てる結果となりました。


京都市の「空き家税」に学び、西宮でも新税導入を

空き家対策には、継続的に取り組むための安定した財源の確保が不可欠です。私はその一つの方策として、京都市が導入予定の「非居住住宅利活用促進税」を参考に、西宮市でも空き家に対する新税制度の導入を提案しました。

京都市の案内資料が次の通りです。

京都市のように、居住実態のない住宅に対して税を課し、その収入を空き家対策に還元する仕組みは、市民の理解も得られつつあります。実際、京都市のパブリックコメントでは、「負担増」にもかかわらず、比較的肯定的な意見が多く寄せられました。

西宮市の場合、京都市の約3分の1の人口規模で試算すると、年間3億円の税収、徴収コスト7,000万円という現実的な見込みが立ちます。私はこの新税を「目的税」として導入し、空き家対策専用の基金を創設することで、解体補助や広報などの対策に安定的に充当するという仕組みを提案しました。

この提案に対し、市長からは次のような答弁がありました。

「空き家率が低いという点や、過去のデータでも5年間で半分以上の空き家が流通しているという実態があることを踏まえると、直ちに導入を指示する段階にはない。ただし、京都市や神戸市の制度内容を研究する必要はあると考えており、担当部局とともに今後調査・研究を進めたい

新税を導入するか否かの議論ですから、なかなかすぐに導入することを明言することが難しいのは理解しますが、空き家対策に対する危機感の低さを感じました。

私は改めて、今このタイミングで検討に踏み出す意義を強調し、市民ニーズや市の都市特性に即した制度設計の必要性を訴えましたが、まだまだ研究の域を出ないと言ったところでしょうか。

空き家問題は、単に「今困っている人の問題」ではなく、このまちに将来住みたい人たちを受け入れられるかどうかの分かれ目でもあります。西宮の未来に向けて、踏み込んだ空き家対策の議論をさらに深めていきたいと考えています。


解体補助制度の導入で流通と安全性を両立

神戸市では、旧耐震基準の空き家について、最大60万円の解体補助を行っています。これにより、危険建物の除去と流通促進が同時に進んでいます。

空き家税の導入による財源を西宮市でも同様の制度を導入すれば、所有者が処分に踏み切るきっかけとなり、放置リスクを下げることが可能です。

当局からは「モラルハザードや公平性の観点から慎重に」との見解でしたが、神戸市では上の資料のように、4.3億円を解体補助のために予算化しており、45%は国からの交付税によって賄われることから、適切な審査や条件設定を行うことで十分対応可能です。

前向きな答弁が得られなかったことは残念ですが、住みたい街を守るために必要な制度として粘り強く訴えていきたいと思います。


支援法人制度・広報強化など小さな一歩も着実に

2023年に国土交通省がスタートした「空家等管理活用支援法人制度」では、不動産団体などが空き家の管理・調査を担うことができます。

西宮市ではNPO法人空き家相談センターとの連携がありますが、さらなる指定団体の活用や機能強化によって対応力の向上が図れると考えています。

また、神戸市が行っているように、納税通知書に空き家対策のチラシを同封することも、費用負担の少ない有効な手段です。令和6年10月から郵便料金の体系が見直され、50g以内であれば追加チラシも同封可能になりました。

こうした「小さな一手」も積み重ねることで、空き家発生の抑止につながります。


今こそ住宅都市・西宮の未来を見据えた一手を

西宮市は、再開発が進みにくい用途地域に囲まれ、限られた宅地の有効活用が今後の鍵になります。人口流入のために山を切り開く大規模開発を続けるのではなく、既存ストックの活用に目を向けるべき時期です。

空き家を放置すれば、公共交通や商業施設の維持が困難となり、まちの魅力そのものが損なわれてしまいます。まさに「住みたいまち」を守るためには、今こそ行動すべきです。

私は空き家税の導入、解体補助、所管の見直し、支援法人の活用、広報強化の5本柱で空き家流通を促進し、「住宅都市・西宮」の未来を守っていきたいと考えています。

簡単に図示化すると、次のような循環を生み出すことが理想的だと思っています。

このようなサイクルを生み出すことが、子育て支援によって、人口を呼び込むよりも、街のイメージを上昇させ、結果的に人口増につながっていくと思います。

今回は、昨年12月の一般質問「住宅流通促進のための空き家対策について」の報告でした。

引き続き、市民の皆さまの声を大切にしながら、議会で具体的な提案を続けてまいります。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

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