【公園整備と不動産開発】地域に本当に必要な公園のあり方とは?令和6年12月議会一般質問②
こんにちは。西宮市議会議員の坂本龍佑です。
今回は、2024年12月定例会において私が取り上げた「公園整備と不動産開発のあり方」について報告したいと思います。
目次
- 利用されていない「小さな公園」が増えている現状
- 法改正で可能となった「公園設置義務の緩和」
- 「狭い公園をたくさん」から「広くて魅力的な公園を」へ
- 市に寄付せず、事業者が管理する公園という選択肢
- 開発協力金制度を再構築し、地域に開かれた公園へ
- 市が「検討と報告」を明言した、重要な一歩
利用されていない「小さな公園」が増えている現状
西宮市内には、150㎡前後の小規模な公園が数多く点在しています。しかし、市の「遊具等公園施設長寿命化計画」でも示されているように、1日の利用者が1人に満たないという公園も存在します。
実際に「雑草が伸び放題」「誰も使っていない」といった光景を見たことがある方も多いのではないでしょうか?こうした小規模公園は維持管理コストだけがかかり、市の財政負担の原因となっています。
これは全国的な傾向で、国も問題視し、令和4年に都市計画法を改正。一定の条件を満たせば、小規模公園の設置を抑制できるようにルールを見直しました。

法改正で可能となった「公園設置義務の緩和」
従来、開発面積が3,000㎡以上ある場合は、3%の土地を公園として提供することが義務付けられていました。しかし、法改正により、3,000㎡以上1万㎡未満の開発については、条例により義務を免除できるようになりました。
この改正を活かせば、たとえば土地3,000㎡・容積率200%の開発で、公園を設けないことで戸数が8戸増え、市税収も年間120万円増となる試算があります。除草費の削減まで含めると年間130万円の財政効果も期待できます。
「狭い公園をたくさん」から「広くて魅力的な公園を」へ
西宮市では条例により、開発敷地の10%を公園として提供するよう求めています。これは整備を促す反面、地域の実情に合わない負担になっているケースもあります。
私は、300㎡の公園が5つあるより、1,500㎡の広々とした公園が1つある方が、住民にとっても管理上も理想的だと提案しました。
地域に既に公園がある場合にまで新設を義務づける現行制度については、今後の都市像に応じた再検討が求められます。
市に寄付せず、事業者が管理する公園という選択肢
神戸市や尼崎市では、開発事業者が設置・管理し、地域に開放する「自主管理公園」という制度が運用されています。
西宮市にも同様の制度がありますが、設置場所が公道に面していないなど、住民の利便性が十分に確保されていないケースがあることから、私は公道に面した、地域に開かれた形での自主管理公園の整備を求めました。
市は「今後の開発協議で事業者に働きかけていく」との答弁を行い、一定の前進が見られました。
開発協力金制度を再構築し、地域に開かれた公園へ
かつて西宮市には「開発協力金制度」が存在しましたが、制度の透明性などを理由に廃止されました。私は今回、公園整備に目的を限定した形での制度再構築を提案しました。
条例に基づいて法的根拠を持たせ、協力金を財源として、大規模公園の整備や緑地の確保に充てる。そのような仕組みであれば、市民負担を増やさずに公園政策を前進させることができます。
市からは「法的整理を含めて他市事例の研究を進め、結果は成否にかかわらず報告する」との答弁がありました。
市が「検討と報告」を明言した、重要な一歩
今回の一般質問を通じて、特に大きな前進と言えるのは、「開発協力金制度」の導入に向けて、市が正式に研究を行い、その結果を議会に報告すると明言されたことです。
開発事業者の視点に立つと、分譲マンションを建築する場合は公園を整備しなければならないのに、老人ホームを建築する場合は、公園を整備する必要がないことから、土地価格競争の市場原理において、分譲マンションよりも老人ホームを誘引するような制度設計になっておりましたが、これを開発協力金として市に収めることによって、公平な競争が促進されるという効果があります。
この制度が実現すれば、開発事業者から得られる協力金を財源として、
- より広く魅力ある公園の整備
- 生産緑地などの買い取りによる大規模緑地の確保
- 地域に開かれた空間づくり
といったまちづくりに柔軟に活用できる可能性が広がります。
今後、市がこの制度の法的整理・他市事例・運用ルールの研究を進め、その「成否にかかわらず」結果を必ず報告するとの約束が交わされたことは、まちづくりの転換点となる第一歩だと受け止めています。
引き続き、その動向を丁寧に見守り、市民の皆さまと共有してまいります。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!