職員に対する政党機関紙の勧誘、販売を禁止することが申し合わせされることに!
こんにちは。
西宮市議会議員の坂本龍佑です。
本日は、令和8年5月8日に開催された議会運営委員会において、「市職員に対する政党機関紙の勧誘・販売を行わないこと」を申し合わせる方向となりましたので、ご報告いたします。
今回の議論は、単なる政党間の対立ではなく、「市職員が安心して働ける環境をどう守るのか」という観点から行われました。
実際に西宮市では、庁舎内での政党機関紙の勧誘に関するアンケートも実施され、多くの職員が心理的な圧力を感じていた実態が明らかになっています。
目次
- 政党機関紙とは
- なぜこの問題が議論されたのか
- 議会運営委員会での議論① 現状の問題点
- 議会運営委員会での議論② 庁舎管理規則
- 議会運営委員会での議論③ 申し合わせ
- 政党機関紙を巡る問題点
- 市役所に勤務する皆様へ
1.政党機関紙とは
そもそも政党機関紙ってなに?
って思った方もいると思うので、その説明です。
政党機関紙とは、読んで字の如く「政党」の「機関紙」です。
政党の広報誌というような言い方をした方がわかりやすいでしょうか。
要は、政治活動をする政党が自らの主張を広めるために発行するものです。
主な政党機関紙として、次のようなものが挙げられます。
しんぶん赤旗(日本共産党): 日刊紙、日曜版
公明新聞(公明党): 日刊紙
社会新報(社会民主党)
自由民主(自由民主党)
立憲民主(立憲民主党)
国民民主プレス(国民民主党)
国政政党がたくさん並んでいますね。
令和8年5月8日の議会運営委員会では、「政党機関紙の庁舎内勧誘行為の取扱いについて」が正式に協議事項として議論されました。
その中で、西宮市議会として、
- 市職員に対する政党機関紙の勧誘・販売
- 電話、メール、SNS等を用いた営業的行為
- 議員という立場を背景とした勧誘
などについて制限する申し合わせを行う方向で議論が進みました。
2.なぜこの問題が議論されたのか
政党が広報誌を発行して、それを販売することで収入源として、政治活動に充てるということは認められており、様々な政党で行われています。
では、なぜこの問題が議論されたのか。
今回の議論の背景には、令和6年に実施された「政党機関紙の庁舎内勧誘行為に関するアンケート」があります。
そのアンケートの内容がこちら!


・管理職へのアンケートでは、約7割(68.3%)が「市議会議員から政党機関紙の購読勧誘を受けたことがある」と回答
・勧誘を受けた職員のうち、半数以上(54.7%)が「心理的な圧力を感じた」と回答
・勧誘を受けた職員のうち、64.1%が実際に購読していた
・「心理的な圧力を感じた」と回答した職員のうちでも、65.6%が購読していた
議員と市職員は、
- 議会質問
- 要望活動
- 予算・条例審査
- 日常的な行政対応
などを通じて、業務上の関係性があります。
その中で、職員側が「断りづらい」と感じる状況が発生することは、決して望ましいことではありません。
議員によるパワハラが問題になることもありますが、議員が職員に対して、「政党機関紙を買ってくれ」と言われたら、職員は購入せざるを得ないという心理状況になってしまうのです。
しかも毎月の出費は安いものではありません。
最も発行部数の多い、共産党の政党機関紙である「赤旗」は
日刊紙(紙版・電子版): 月額3,497円
日曜版: 月額990円
セット(日刊紙+日曜版): 月額4,487円
といった価格になっておりますので、一般的な新聞と同じような価格帯です。
仮に、自ら望んでこの広報誌を購読しているならば、なんの問題もありませんが、半数以上の人が「心理的圧力を感じて」購読しているとしたら、大問題だと思いませんでしょうか。
これを自分ごとに置き換えてみると、自分が契約したくもないサブスクをずっと契約させられているようなもんですね。
このような実態を受けて、私の所属する啓誠会としては政党機関紙の庁舎内勧誘行為は禁止するべきだと考え、議会運営委員会において提案を行いました。
3.議会運営委員会での議論① 現状の問題点
議会運営委員会において、私は次のことを提案しました。
- 庁舎管理規則の改正
- 市議会としての申し合わせ
庁舎管理規則とは、西宮市役所等の庁舎内における規則で、禁じられる行為についての記載があります。
そもそも庁舎管理規則の中には、
・金銭・物品等の寄付の強要又は、押売の行為
という文言が含まれていました。
その他にも、「西宮市議会議員政治倫理条例」というものがあり、西宮市議会議員として守るべき倫理観が示された条例があります。
そこにも、
・地位を利用して金品を授受しないこと。
という文言が記載されています。
逆にいうと、このような条例がありながら、これまで西宮市役所では、議員による職員に対する勧誘行為が続いてきたわけです。
だからこそ、庁舎管理規則の改正と申し合わせの作成を提案したわけです。
4.議会運営委員会での議論② 庁舎管理規則
これは偶然の産物でもありますが、議論の最中に、庁舎管理規則の改正が行われました。
主な改正内容は、禁止項目の中に、
「政治的又は宗教的活動を行う行為」
というものが加わったということです。
考えてみれば当然なのですが、市役所の中で、政治的活動が行われるのは望ましくありませんよね。
なお、政治的又は宗教的活動を行う行為に政党機関紙の勧誘が含まれているとのことでした。
つまり、「政党機関紙の勧誘を庁舎内で行うことは禁止だ」と市が明言したことになるのです。
これを受けて、私としては庁舎管理規則の改正は取り下げても良いと判断することになりました。
5.議会運営委員会での議論③ 申し合わせ
一方で、市議会での申し合わせについては、これまでの庁舎管理規則、政治倫理条例があっても防ぎ切ることができなかったことを踏まえると、申し合わせることが望ましいと考えておりました。
私が、提案した内容は次のとおりです。
西宮市議会議員による西宮市職員に対する勧誘行為等の制限に関する申し合わせ事項
職員の良好な職場環境を確保するため、議員は、庁舎内外を問わず、対面、電話、電子メ
ール、SNS その他これらに類する手段により、職員に対し、次に掲げる行為を行わないも
のとする。
1 政党機関紙その他刊行物の勧誘又は販売
2 金銭の授受を伴う物品又はサービスの勧誘
3 継続的な購読、契約又は加入を求める行為
4 議員の地位又は職務上の関係性を背景とした営利を目的とする勧誘行為
5 その他、職員に対し不当な圧力又は心理的負担を与えるおそれのある営利を目的と
する勧誘行為
議長は、本申し合わせに反する行為に関する相談又は申し出があったときは、事実確認を
行った上で、必要に応じて、議会運営委員会に報告するものとする。
これに対して様々なご意見をいただきました。
・アンケートの結果を受けて、政党機関紙の販売は自粛しているのだから、申し合わせは不要。
・政治活動の自由を制限している。
・政党機関紙に限らず、議員から職員に対するハラスメントとして協議すべきだ。
・庁舎内であっても、政治活動は許されるべきだ。
などなど。
個人的には、何を言っても今までも規制があったのに、それをきちんと守らずに、職員に心理的圧力をかけて政党機関紙を販売してきた結果、このような申し合わせが必要になったのだから、身から出た錆なんじゃないかなと思うところです。
しかし、議論は平行線となり、維新の会の江良委員からの発言によって、申し合わせをするかどうかについての採決を行うことになりました。
結果、申し合わせることに
賛成:5(啓誠会2 坂本、松本 日本維新の会2 多田、江良 ぜんしん1 牧)
反対:5(公明2 大川原、松田 市民クラブ2 河崎、奥野 共産1 庄本)
となり、議会運営委員会の委員長であるたかの委員長が賛成したため、申し合わせ案を採用することになりました。
この結果について、皆様はどう感じますでしょうか。
市役所の職員に対して、心理的圧力を感じて政党機関紙を購読させるという行為を禁止することを申し合わせるということに対して、議会のうちの半数近くは反対だということです。
最終的に、維新とぜんしんの皆様のご理解をいただいたおかげで、禁止することができましたが、これによって、市役所職員の働きやすい環境が作られることを願うばかりです。
6.政党機関紙を巡る問題点
政党機関紙は、各政党にとって政治活動を行うための貴重な収入源です。
私は、政治活動の自由は当然尊重されるべきだと考えています。
一方で、市職員が安心して働ける環境を守ることも、同じくらい重要です。
だからこそ、今回の申し合わせは「政治活動そのものを否定する」のではなく、「職員との関係性を背景にした営業的行為を控える」という整理になっています。
一方で、軽視できない事実があります。
それが政党ごとの収入構造の違いです。
政党ごとの収入構造の違い
| 政党 | 主な収入源 | 機関紙・出版事業収入の割合(概算) |
|---|---|---|
| 日本共産党 | しんぶん赤旗・出版事業 | 約80%前後 |
| 自民党 | 政党交付金・献金 | 1%未満〜数%程度 |
| 立憲民主党 | 政党交付金・寄付 | 数%程度 |
| 公明党 | 政党交付金・党費 | 限定的 |
| 日本維新の会 | 政党交付金・寄付 | 限定的 |
このように、日本共産党だけが政党機関紙であるしんぶん赤旗の出版事業による収入が80%前後だということです。
よく共産党は、「政党交付金を受け取っていない」「自民党の裏金」と広報しています。
確かに自民党の政治資金の不記載は反省すべきことです。
しかし、自らの収入は公務員に対して、心理的圧力をかけて、政党機関紙を販売していることによるものだとしたら、そちらに対する反省があって然るべきだと考えています。
7.市役所に勤務する皆様へ
最も大事なことです。
私は、今回の議論において、譲歩した部分があります。
それは、現在心理的圧力を受けて、政党機関紙を購読している職員の皆様に対することです。
本来は、心理的圧力を感じて、政党機関紙を購読した側の人たちが、自らの行動を顧みて、市役所の職員に対して、クーリングオフキャンペーンではありませんが、購読停止を申し出る期間を設けるべきだと思います。
私は、議会としてそれを行うことを提案しましたが、様々なご意見もいただく中で、叶えることができませんでした。
市役所の皆様で、ブログを読んでいただいている方にお伝えしたいのは、
・政党機関紙の購読は義務ではありません。
・政党機関紙を購入したくない場合、その旨を伝えてください。
・探してみると、赤旗はHPから解約の手続きを行うことが可能となっています。
https://www.akahata-digital.press/cancellation
ぜひ本当に必要なもの、必要な出費なのかご検討いただければと思います。(取りたくて、取っているという方はご放念ください。)
今回は、政党機関紙を巡る問題点と、西宮市議会としての申し合わせ事項についての報告でした。
今後も信頼される西宮市議会、働きやすい西宮市役所、頑張った人がきちんと報われる西宮市を目指して頑張って参ります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
