中学生の自転車通学をなぜ認めない?「プレみや」本格実施を前に改めて問う 令和7年9月 一般質問④

こんにちは。

西宮市議会議員の坂本龍佑です。

今回は、令和7年9月議会の一般質問で取り上げた、「中学生の自転車通学」についてご報告します。

西宮市では、中学生の通学手段は基本的に徒歩とされ、自転車通学は認められていません。

しかし、中には片道2km、3km、それ以上の距離を、重たい荷物を背負って毎日歩いている生徒もいます。

私は、このルールについて率直に疑問を持っています。

なぜ、一定以上の距離を通学する生徒にまで、一律に自転車通学を認めないのでしょうか。

そして、この問題は令和8年9月から「プレみや」が本格実施されることで、さらに大きくなります。

プレみやでは、校区に関係なく他の中学校等で活動する選択肢が生まれます。

しかも、活動場所への移動については、自転車を利用することも想定されています。

つまり、

「学校への登下校では自転車はダメ」

なのに、

「プレみやに行くためなら自転車を使う場合もある」

という状況です。

私は、この制度に合理性があるとは思えません。

一般質問の動画はこちらをご覧ください!


目次

  1. 交通不便地域は800m。でも中学生は2km、3kmでも徒歩?
  2. 公共交通を使えば、今度は家庭の負担になる
  3. 「危険だから禁止」は本当に合理的なのか
  4. プレみやは自転車OK、登下校はNGという矛盾
  5. プレみやで「体験格差」が生まれかねない
  6. 本当に生徒は今の制度を望んでいるのか
  7. 全面解禁ではなく、まず実証実験を
  8. これは「ゼロリスク思考」の問題ではないか
  9. 令和8年9月の本格実施を目前にしても状況は変わっていない
  10. 子どもたちの貴重な時間を守るために

交通不便地域は800m。でも中学生は2km、3kmでも徒歩?

まず私が疑問に感じるのが、西宮市の他の政策との整合性です。

西宮市の交通政策では、公共交通へのアクセスが困難な地域を考える際に、

  • バス停から300m
  • 鉄道駅から800m

という距離が一つの基準になっています。

一方、中学生の通学についてはどうでしょうか。

2km、3km離れていても、基本的には徒歩です。

私は議会で、

「交通政策では800mでも不便と考える一方、中学生には2km、3kmを歩かせる。この考え方は整合しているのか」

と質問しました。

もちろん、公共交通政策と中学生の通学制度は目的が違います。

しかし、それだけで「2km、3kmの徒歩通学は問題ない」と結論づけてよいのでしょうか。

毎日、重たい教科書や部活動の荷物を背負い、夏の暑さの中でも歩くのは中学生本人です。

行政側の制度の縦割りではなく、実際に歩いている子どもの立場から考える必要があります。

公共交通を使えば、今度は家庭の負担になる

では、徒歩が大変ならバスや電車を利用すればよいのでしょうか。

実際、長距離通学のために定期券を購入している家庭もあります。

しかし、それには当然費用がかかります。

今、行政は子育て世帯の経済的負担を軽減しようと、様々な施策を実施しています。

それなのに、通学については、

「徒歩が難しいなら、お金を払って公共交通を利用してください」

という選択肢しか事実上用意しない。

自転車という選択肢を加えれば、家庭の経済的負担を抑えながら、通学時間も短縮できます。

なぜ、それすら認められないのでしょうか。

「危険だから禁止」は本当に合理的なのか

自転車通学を認めない最大の理由として挙げられるのが「安全面」です。

当然、自転車には事故のリスクがあります。

私も「自転車は安全だから何の対策も必要ない」と主張しているわけではありません。

しかし、事故のリスクがあることと、一律禁止が合理的であることは全く別の話です。

私が一般質問で使用した警察庁の統計では、2005年から2024年にかけて、

  • 交通事故による死者数 約62%減少
  • 自転車事故による死者数 約55%減少

となっています。

もちろん、事故がゼロになったわけではありません。

だからこそ、

  • ヘルメット着用
  • 保険加入
  • 安全講習
  • 通学ルートの指定
  • 保護者の同意

などを条件にすればよいのです。

「危険性があるから禁止する」のではなく、「危険性があるから安全に利用できるルールをつくる」。

行政に求められるのはこちらではないでしょうか。

プレみやは自転車OK、登下校はNGという矛盾

そして、私が最も理解できないのが「プレみや」との整合性です。

西宮市は令和8年9月から、現在の中学校部活動を地域クラブ活動「プレみや」へ本格的に展開します。

プレみやでは、自分の学校だけでなく、校区を越えて他の中学校などで活動することが可能になります。

そして西宮市は、プレみやの活動場所への移動について、徒歩だけでなく自転車等を利用して参加することもあり得ると説明しています。

では、なぜ登下校では認めないのでしょうか。

同じ中学生です。

同じ自転車です。

同じ西宮市内の道路を走ります。

学校への登校なら危険。

プレみやへの移動なら自転車利用も可能。

私は、これは明らかに制度として整合性を欠いていると思います。

行政内部では制度上の位置付けや責任主体が違うという説明になるのかもしれません。

しかし、道路を走る子どもにとって危険性が制度上の名称によって変わるわけではありません。

プレみやで「体験格差」が生まれかねない

この問題は、単なる通学時間の話ではありません。

プレみやで子どもたちの「体験格差」を生む可能性があります。

例えば、自宅まで徒歩30分かかる生徒が、隣の中学校で行われるプレみやに参加するとします。

16時に学校を出て、徒歩で30分かけて帰宅。

そこから自転車に乗り換え、15分かけて隣の中学校へ行けば、到着は16時45分です。

一方、学校から直接自転車で移動できれば、16時15分には到着できます。

仮に活動時間が16時から18時までなら、30分の差は非常に大きい。

場合によっては、

「興味のある活動は隣の学校にある。でも移動に時間がかかるから諦める」

ということが起こります。

これは、プレみやが掲げる「子どもたちの選択肢を広げる」という理念にも逆行します。

活動を用意するだけでは「選択肢を広げた」ことにはなりません。

そこへ現実的にアクセスできて初めて、本当の選択肢になります。

本当に生徒は今の制度を望んでいるのか

教育委員会からは、現在の通学方法について生徒から一定の理解が得られている趣旨の説明もありました。

しかし、私はここにも疑問を感じました。

実際に私が女子中学生10人に聞いたところ、9人が「自転車通学が認められるなら自転車で通いたい」と答えました。

もちろん10人だけの聞き取りですから、これを西宮市全体の意見だと言うつもりはありません。

だからこそ聞きたいのです。

教育委員会は、本当に生徒たちに聞いたのでしょうか。

「要望が届いていない」ことと、「要望がない」ことは違います。

大人が勝手に「今の制度で理解を得られている」と判断するのではなく、当事者である生徒や保護者に一度きちんと聞いてみるべきです。

全面解禁ではなく、まず実証実験を

私は、明日から西宮市全域で自転車通学を全面解禁しろと言っているわけではありません。

まずは、通学距離が長く、道路環境などの条件が整っている地域を選び、小さく試せばよいのです。

例えば、

  • 学校から一定距離以上
  • ヘルメット着用を義務化
  • 自転車保険への加入
  • 保護者の同意
  • 安全講習の受講
  • 安全な通学ルートを指定

といった条件を設ける。

そして、事故の発生状況や生徒・保護者・学校の意見を検証する。

問題があれば改善すればいい。

実証実験とは、そのためにあるものです。

これは「ゼロリスク思考」の問題ではないか

今回の議論を通じて私が強く感じたのは、西宮市教育委員会の姿勢が「ゼロリスク思考」に陥っていないかということです。

危険だからやらせない。

事故が起きたら困るから認めない。

確かに、子どもから危険を遠ざけたいという気持ちは理解できます。

不必要なリスクを取らせる必要もありません。

しかし、世の中からすべてのリスクをなくすことはできません。

自転車だけではありません。

火も、包丁も、スポーツも、外遊びも、一定の危険性があります。

だから全部禁止するのでしょうか。

違うはずです。

危険性を理解し、安全に扱う方法を教えることも教育です。

私は、「危ないから禁止」で思考を止めることの方が、教育として問題ではないかと思っています。

令和8年9月の本格実施を目前にしても状況は変わっていない

この一般質問を行ったのは令和7年9月です。

それから約1年が経ちました。

そして現在、西宮市は令和8年9月から、平日・休日ともにプレみやを本格実施する予定です。

市自身が「校区に関わらずどこの中学校でも」活動を選べることをプレみやの大きな特徴として打ち出しています。

また、プレみやへの移動については、現在の市の公式Q&Aでも、各クラブの判断により自転車等を利用して参加することもあり得ると明記されています。

それにもかかわらず、通常の登下校における自転車通学については、私が一般質問で問題提起した当時から、状況が変わったとは確認できません。

むしろ、プレみやが本格的に始まれば始まるほど、

「プレみやなら自転車で他校へ行けるのに、なぜ毎朝通っている自分の学校へは自転車で行けないのか」

という矛盾が、より鮮明になります。

西宮市はプレみやについて、「子供達の選択肢を広げ、継続的に活動できる環境を整える」としています。

私はその方向性には賛成です。

だからこそ、活動の選択肢だけ増やして、そこへ行くための移動手段を旧来のルールのまま放置するのは不十分だと考えます。

子どもたちの貴重な時間を守るために

中学生は忙しいです。

授業があります。

宿題があります。

塾に通う子もいます。

プレみやにも参加します。

そして、成長期ですから十分な睡眠時間も必要です。

そんな中で、毎日片道30分、40分、場合によってはそれ以上を徒歩通学に使っています。

自転車通学を認めれば、その時間をすべてゼロにできるわけではありません。

しかし、毎日20分、30分でも自由になる時間が増えれば、3年間では相当な時間になります。

勉強してもいい。

プレみやに参加してもいい。

家族と過ごしてもいい。

友達と遊んでもいい。

何もしないで休んでもいい。

それは、子どもたち自身が決めればいいことです。

行政が考えるべきなのは、

「なぜできないのか」ではありません。

「どうすれば安全にできるのか」です。

ヘルメットを義務付ければいい。

保険加入を条件にすればいい。

安全講習を行えばいい。

通学ルートを限定してもいい。

最初は一部地域だけでもいい。

それでも心配なら、まず実証実験をすればいい。

何も試さずに「危ないからダメ」で終わらせることには、私は納得できません。

令和8年9月からプレみやが本格的に始まります。

部活動の仕組みを大きく変えるのであれば、それに合わせて通学や移動のあり方も見直すべきです。

禁止すべき理由を考えるのではなく、どうやったらできるようになるのか。

忙しい中学生の青春の時間を少しでも確保するためにも、教育委員会には決断してほしいと思います。

引き続き、自転車通学の実証実験実施を求めていきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA