西宮市の財政ってどうなの?令和7年度決算の黒字化を踏まえて

こんにちは。

西宮市議会議員の坂本龍佑です。

これまで「西宮市の財政ってどうなの?」というシリーズで、西宮市の厳しい財政状況や、財政構造改善の取組についてお伝えしてきました。

令和4年度には実質単年度収支が約42億円の赤字となり、その後も令和5年度、令和6年度と赤字が続いていました。

これを受けて、基本的に新規事業はストップ。財政構造改善が進められています。

しかし、今回公表された令和7年度決算では、実質単年度収支が26億2千万円の黒字となりました。

財政構造改善の効果額も、令和7年度では19.1億円程度の効果が出ることとなり、一定の成果が出ております。

これを踏まえて、西宮市はようやく「財政再建だけを考える段階」から、「改革を続けながら、必要な未来への投資を進める段階」へ移る準備が整ってきたと考えています。

ただし、今回の黒字をもって「財政問題は解決した」と考えるのは早計です。黒字化には税収増など外部環境の追い風も大きく、行政自らが生み出した恒久的な改善効果だけではありません。

今回は、令和7年度決算の内容と、これからの西宮市の財政運営について、私の考えをお伝えします。


目次

  1. 令和7年度決算は26億2千万円の黒字に
  2. 黒字化の背景にある「歳入の増加」
  3. 財政の安全性はどこまで改善したのか
  4. これからは必要な投資を加速させるべき
  5. 黒字になっても改革を止めてはいけない
  6. 市民サービスを「効果」で評価する行政へ
  7. まとめ―改革と投資を両立する市政へ

1.令和7年度決算は26億2千万円の黒字に

令和7年度の決算概要が発表されました。資料は↓

https://sakamotoryusuke.com/wp-content/uploads/2026/08/e373cecf92807168d49449ab7c86e617.pdf

令和7年度一般会計決算は、歳入が2,266億円、歳出が2,230億円。

歳入から歳出を差し引いた形式収支は36億3千万円の黒字、翌年度へ繰り越す事業の財源を除いた実質収支は29億円の黒字です。

さらに、前年度からの実質収支や財政基金への積立・取崩しの影響などを調整した実質単年度収支は26億2千万円の黒字となりました。

主な指標令和6年度令和7年度
歳入総額2,053億円2,260億円
歳出総額2,043億円2,223億円
実質単年度収支14億9千万円の赤字26億2千万円の黒字

令和4年度は42億4千万円の赤字、令和5年度は38億8千万円の赤字、令和6年度は14億9千万円の赤字でした。

令和7年度は以前から赤字を脱却する見通しとされていましたが、特別な影響がなく、3年連続の赤字から黒字へ転換したことは、大きな節目です。

しかも令和7年度は、東部総合処理センター破砕選別施設や中学校施設の整備などにより、投資的経費が前年度から61億3千万円増えています。単に事業を止めて黒字をつくったわけではなく、一定の投資を進めながら黒字を確保した点は評価すべきです。

さらに、これとは別に江上町の土地売却益などにより、公共施設等整備基金積立金が50.1億円が増加しており、財政的には次の投資への足がかりを作っています。

2.黒字化の背景にある「歳入の増加」

一方で、黒字化の理由を冷静に見る必要があります。

令和7年度の市税収入は957億円で、前年度の915億円から41億7千万円増加しました。その内訳は次のとおりです。

  • 個人市民税:401億円 → 435億円
  • 法人市民税:43億円 → 45億円
  • 固定資産税:348億円 → 352億円
  • 都市計画税:83億円 → 84億円

個人市民税だけで前年度から34億7千万円増えており、市税増収の大半を占めます。

また、給与や企業収益、地価や家屋価格などが名目額で上昇すれば、市民税や固定資産税なども増えやすくなります。

近年の物価上昇とそれに伴う賃金・資産価格の上昇は、市税や地方消費税交付金を押し上げる方向に働きます。

さらに、西宮市は比較的所得の高い市民が多く、昨今の給与増の影響を強く受ける傾向にあり、不動産の高騰も固定資産税の増加という点でプラスに働いております。

つまり、今回の黒字化は、財政構造改善の取組だけで実現したものではなく、インフレ下での名目税収の増加という追い風も受けた決算と見るべきです。

もちろん、物価上昇は歳入だけでなく、公共工事費、委託料、光熱費など歳出も増加させます。税収が増えたからといって、その全額を自由に使えるわけではありません。

だからこそ、一年度の黒字だけで財政構造が完全に改善したと判断することはできません。

3.財政の安全性はどこまで改善したのか

令和7年度末の基金残高は469億円で、前年度から48億円増えました。このうち、財源不足などに対応する財政基金は156億円で、前年度の152億円から4億円増えています。

また、市債残高は1,223億円で、前年度から約6億円減少しました。

借金を増やし過ぎず、基金を積み増し、実質単年度収支も黒字になった。この3点を見れば、財政運営の安定性は確実に改善しています。

一方で、財政の弾力性を示す経常収支比率は95.5%です。前年度の96.7%から1.2ポイント改善したものの、類似都市平均より高く、依然として自由に使える財源が少ない状態です。

西宮市が昨年度発表した財政運営ガイドラインでは、この経常収支比率を95%以下に抑えるとしておりますので、もう一息といったところです。

実際、歳出では人件費、扶助費、公債費という義務的経費だけで1,256億円に上ります。扶助費は前年度から36億1千万円増え、723億円となりました。

つまり黒字にはなったものの、財政に十分な余裕がある状態ではない。

これが現在地です。

4.これからは必要な投資を加速させるべき

これまで西宮市は、財政が厳しくなると、大規模な公共事業やまちづくりへの投資を止める傾向がありました。

その結果、学校施設の老朽化、駅前整備の遅れ、公共施設の更新など、先送りされた課題が積み上がっています。

過去のブログでも書きましたが、借金が少なければ、それだけで良い財政とは限りません。

昨今、兵庫県が起債許可団体になったというニュースがありましたが、

兵庫県の財政=多額のインフラ投資により借金が増えたところに金利上昇

西宮市の財政=インフラ投資を抑制し、福祉サービスを拡大した結果、借金は少ないが、財政が硬直化

こんな特徴があるかと思います。

将来世代も利用する施設を整備するために市債を活用することは、世代間の負担を公平にするという意味があります。

財政再建の目的は、貯金を増やし続けることではありません。

必要な市民サービスや、将来の税収・都市価値を生み出す投資を持続的に行える財政をつくることです。

令和7年度に黒字化し、基金残高も増加した今、次のような分野では投資を加速させるべきです。

  • 老朽化した学校・公共施設・インフラの計画的な更新
  • 駅前再整備や交通利便性の向上
  • 待機児童対策をはじめとする子育て環境の改善
  • 行政DXによる市民の利便性向上と職員の職務効率化
  • 民間投資を呼び込み、将来の税収につながるまちづくり

特に、学校などや道路などの公共施設の老朽化には、比較的潤沢にある都市計画税や公共施設等整備基金などの活用ができるものが多くあります。

一方で、このようなインフラ投資には、国と県の財政支援が欠かせません。そういう意味では、西宮市が今後積極投資に転じるべきタイミングでの兵庫県の公共投資縮小の方針はかなり中止していく必要がありますね。

また、大切なのは、何でも新しく始めればよいということではありません。事業費だけでなく、完成後の維持管理費や人員まで含めた将来負担を示したうえで、優先順位をつける必要があります。

5.黒字になっても改革を止めてはいけない

財政が黒字になったときに最も警戒すべきなのは、「もう見直しは必要ない」という空気が生まれることです。

今回の税収増には、定額減税の反動という一時的な要素があります。また、物価上昇による税収増も、景気や賃金の動向によって変わります。

一方、人件費、扶助費、施設維持費などは、一度増えると簡単には減りません。

外部環境の追い風を前提に新しい固定費を増やせば、税収が伸び悩んだときに再び赤字へ戻る可能性があります。

したがって、行政のスクラップ・アンド・ビルドは継続しなければなりません。

  • 目的を達成した事業は終了する
  • 利用者が少ない事業は、廃止・統合・対象の絞り込みを検討する
  • 行政が直営で行う必要性が低い事業は、民間や地域との役割分担を見直す
  • 新規事業を始める際は、原則として既存事業の見直し財源をセットで示す

財政が厳しくなってから慌てて削るのではなく、平時から事業を入れ替える仕組みを持つことこそ、本当の「財政構造改善」です。

これは財政構造改善が始まった時から常に主張し続けていることですが、常に必要、不必要の事業について、定量的な効果検証を継続していくべきということです。

6.市民サービスを「効果」で評価する行政へ

これまでの行政評価は、「予算を使ったか」「予定した回数を実施したか」「何人が利用したか」といった活動量の確認に偏りがちでした。

しかし、本当に必要なのは、その事業によって市民生活がどれだけ改善したのかを測ることです。

例えば、健康事業であれば参加者数だけでなく、健康状態の改善や将来の医療・介護費への影響まで見る。就労支援であれば相談件数ではなく、就職率や就職後の定着率を見る。子育て施策であれば事業の実施回数ではなく、待機児童や保護者負担がどれだけ減ったかを見る。

もちろん完全な検証ができない事業も多くあります。

その場合においても、仮説をしっかり立てて、検証可能な数値目標を明確にしなければなりません。

また、少なくとも新規・拡充事業については、次の項目を明確にすべきです。

  • 解決したい課題
  • 成果を測る数値目標
  • 目標を達成する期限
  • 1人または1件当たりの行政コスト
  • 継続・縮小・廃止を判断する基準

市民サービスを見直すことは、単純にサービスを削ることではありません。

効果の薄い事業から、効果の高い事業へ予算と人員を移すことです。

この定量的な評価がなければ、声の大きさや前例だけで事業が残り続け、新しい課題に対応する財源を生み出せません。

7.まとめ―改革と投資を両立する市政へ

令和7年度決算の黒字化は、西宮市の財政にとって明るい転換点です。

  • 実質単年度収支は26億2千万円の黒字
  • 基金残高は469億円へ増加
  • 市債残高は1,223億円へ減少
  • 投資的経費を増やしながら黒字を確保

これらを踏まえれば、財政悪化を理由に新しい取組を止め続ける段階ではありません。

学校、インフラ、子育て、駅前整備、行政DXなど、西宮市の将来に必要な投資を厳選し、着実に進めるべきです。

一方で、今回の黒字化には、定額減税の反動や、インフレ下の名目税収増など、外部環境による要素が含まれています。経常収支比率も依然として高く、財政構造の硬直性が解消したわけではありません。

黒字になったから改革を終えるのではなく、黒字になった今こそ、改革によって生み出した財源を未来への投資につなげる。

行政のスクラップ・アンド・ビルドと、市民サービスの定量的な評価を続けながら、必要な投資を進める。

守るだけの財政から、未来をつくる財政へ転換していくべきだと考えています。

引き続き、決算審査や予算審議を通じて、改革と投資が両立する西宮市政を求めていきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


参考(これまでのブログも併せてご参照ください。)

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