【西宮市の部活動地域移行の現在地】本予算に反対し、6月の補正予算に賛成した理由

こんにちは。

西宮市議会議員の坂本龍佑です。

今回は、「部活動の地域移行(プレみや)」に関する議論と、3月議会での予算否決、6月議会での補正予算への賛成という経緯、そして今後の方向性について、ご報告させていただきます。


■ 目次

  1. 全国的に進む部活動の地域移行
  2. 西宮市における議論の流れ
  3. 3月に予算に反対した理由
    1. 議会軽視──議会への説明前に市政ニュースにプレみやの開始を広報
    2. 教育的意義の軽視──学校教育との連携が希薄化する懸念
    3. 活動機会の喪失──クラブの指導者・場所の確保が不透明
    4. 公平性の問題──経済格差・地域差による不平等が生じる可能性
    5. 予算案への反対──予算案への反対によって、予算額を大幅に減額
  4. 6月に補正に賛成した理由
    1. 令和8年8月末までとされた部活動の期限
    2. 教育的意義の継承
    3. 学校とプレみやクラブの情報共有
  5. プレみやへの立場──完璧ではないが進めていこう
  6. 保護者・児童生徒の皆さんへ
  7. おわりに

全国的に進む部活動の地域移行

生徒の活動機会の確保や教員の働き方改革、地域人材の活用を目的に、部活動を地域に移行する流れが全国的に進んでいます。

自治体ごとに様々な地域展開の形を模索していることから、その是非について多くのメディアでも話題に上がっているところです。

西宮市も、令和7年9月を目処に「地域クラブ活動(通称:プレみや)」の開始を予定していることが、市政ニュースに掲載され、現在もプレみやクラブの募集が続けられております。

西宮市での議論の流れ

西宮市では、3月に当初予算案としてプレみやの事業費が提案されましたが、私の所属する啓誠会はこの段階で反対し、予算が否決されたことで、プレみや部分の予算は取り下げに。

その後、6月には修正された補正予算案が提出され、これには賛成しました。その理由について、詳しくご説明します。

3月に予算に反対した理由

主な反対理由について項目ごとに説明していきたいと思います。なお、3月の予算提示の前にあった教育こども常任委員会での説明資料は次のとおりです。↓

・議会軽視──議会への説明前に市政ニュースにプレみやの開始を広報

議会への説明もないままに、プレみやの開始が広報されたのは、これまでの西宮市役所が踏んできた手順とは大きく異なるものであり、議会軽視と言わざるを得ないものでした。

過去に議会は、部活動の地域移行に対して、様々な提言を行っており、市民の皆様からも不安の声も寄せられていただけに、その姿勢そのものに対して、疑念を抱かされるものでした。

教育的意義の軽視──学校教育との連携が希薄化する懸念

私の所属する啓誠会は、これまでの部活動に「教育的な意義」があったと考えております。

私も中学高校は硬式テニス部に、大学は体育会ラクロス部に所属し、そこから得られた経験が大人になってからも、自分の人格形成に大きな影響を及ぼしているという実感がありますし、多くの市民の皆様にも共感いただけるところではないでしょうか。

しかし、これから始まろうとしている「プレみや」において、その「教育的な意義」と言われる要素が継承されるのか非常に不安に感じさせられる提案内容でした。

具体的に「教育的意義」とはなんなのか列挙してみます。

  • 協調性・責任感の養成:チームの一員としての役割を果たし、ルールを守り、仲間と協力することで社会性を育む。
  • リーダーシップとフォロワーシップ:キャプテンや部長、副部長などの役割を通じて、指導力や他者を支える力を身につける。
  • 努力・忍耐・継続の価値理解:目標達成に向けて継続的に努力することの重要性を体感し、自己肯定感を育てる。

私は、これらの要素はスポーツや文化活動に取り組むことで育まれるのものではなく、教職者が生徒をトータルで見ることによって、育まれてきたものだと感じています。

ただ、先生の働き方を変えていかなければならない時代において、プレみやクラブの指導者に教育的意義を提供できるのか、継承できるのかが大きな課題であり、その懸念が払拭できておりませんでした。

活動機会の喪失──クラブの指導者・場所の確保が不透明

クラブの募集を始めたものの、活動機会が保証されるかというところが非常に不透明でした。

例えば、浜脇中学校にあった野球部は野球クラブとして存続するのか?仮に民間から応募がなかった場合どうするのか?

このような点が不透明であり、いまの中学生が最後までその活動ができるのかがわからない状態でした。

民間に委ねるのなら、仮に民間がやらなかった場合、どうするつもりなのかをはっきりする必要があります。

公平性の問題──経済格差・地域差による不平等が生じる可能性

これまでの部活動では部費があったとしても、安価な料金設定となっておりました。

しかし、今回のプレみやにおいては、各クラブが自由に料金設定ができることとなっております。

申し込んだクラブの設定価格を見ると、月額5000円程度がボリュームゾーンとなっており、市民の希望が3000円程度であったことを考えると、家庭の経済状況によっては、体験格差が生まれる可能性があります。

そうした家庭に対する支援がないままに、この取り組みを進めていくことに問題があると考えました。

予算案への反対によって、予算額を大幅に減額

そのため、私たちは当初案には反対し、予算案は否決。

60,458 千円(一部国費充当)→ 4,115 千円(会計年度任用職員の人件費以外を減額)

という修正案に対して賛成し、協議の内容を踏まえた新たな予算案の提示を待つということになりました。

6月に補正に賛成した理由

5月に教育こども常任委員会が開かれ、6月の補正予算に向けた議会への説明が行われました。

説明資料は次のとおりです。↓

啓誠会は教育こども常任委員会に松本議員が所属しているため、当初予算で示した懸念点に対して、質疑を行いました。

また、啓誠会の田中議員も本会議での質疑を行いました。

その結果、次の点に関して改善が加えられたことが確認できました。

令和8年8月末までとされた部活動の期限

元々、部活動は、令和8年8月末までに必ず終了し、9月以降にプレみやに移行すると発表されておりました。

しかし今回、市長は質疑に対して、次のように答弁しました。

学校の責任において行われる部活動は、原則として令和8年8月末で終了いたしますが、生徒の活動機会を確保するために必要とされる受皿が設けられなかった場合には、学校施設を活用しながら、引き続き指導を希望する教員の参画を得るなどして、市が責任を持って生徒の活動機会を確保したいと考えております。

ということで、原則、8月で終了することに変わりはないのですが、受け皿が整わなかった場合、市がきちんと生徒の活動機会を確保することになりましたので、中学生には安心して現在の活動に取り組んでいただくことができます。

教育的意義の継承

次に、当初予算でも反対理由とした教育的意義の継承についてです。

プレみやは単なる「習い事」ではいけないのです。

そのための教育的意義の継承について、

習い事とプレみやとの差別化を図るべく、プレみやクラブに共有するスポーツ・文化芸術活動の役割や意義を明示することになりました。

以下、市長答弁要約

市や教育委員会、統括団体、学校代表、プレみやクラブ代表者などから構成される協議会を創設し、プレみやに関する諸課題などだけでなく、子供の健全育成、人格形成という観点などについても話し合う場にする。

また、その場で整理された項目については適宜、プレみやクラブに行う指導助言といった形で情報共有を図るとともに、統括団体が実施する研修等の内容にも反映し、これまで部活動が担ってきた教育的意義が適切に継承されるよう取り組んでいく。

このようにプレみやクラブは明確に習い事と違うということが明言されたことになります。

しかし、それでも部活動にあった教育的な意義は薄れていってしまう懸念があります。

だからこそ継続的に元々部活動指導にあたっていた先生によるプレみやへの指導を要望しております。

学校とプレみやクラブの情報共有

プレみやクラブと学校は全く別物であり、学校での普段の様子やプレみやクラブでの様子は個人情報の観点から情報共有されないとされていました。

しかし、それでは習い事と変わりがないことを問題視した結果、市長は次のように答弁しました。

・学校施設を利用するプレみやクラブと学校が集まる運営委員会の場などにおいて、学校とプレみやクラブが相互に一般的な情報共有として、学校の様子やプレみやクラブ活動の状況などの情報を交換しながら、子供たちの教育という視点で互いに連携し取り組む。

学校としては、生徒がどのプレみやクラブに所属しているかを把握し、生徒の成長を支えるために、必要に応じてプレみやクラブとの情報共有を図る。

・これらの措置については、来年度の新入生の部活動に関する説明を行う際に、保護者の皆様にもお示しする。

ということで、生徒の状態が学校とプレみやクラブの間で共有されることが確認できました。

これらの懸念点が解消されたいま、完璧な制度設計ではない。また、懸念点もあるが、市は我々の懸念や指摘に対して一定の配慮を加えたことから、今後の進捗を見極めつつも、予算案に対して賛成することといたしました。

■ プレみやへの立場──完璧ではないが進めていこう

上記のような理由で予算案に賛成しましたが、令和8年8月末に、以下の課題が解消される見通しが立たなければ、プレみやの本格実施には賛同できません。

  • 教育的意義の継承がされていない
  • 活動機会・継続性の保証がない
  • 学校との情報共有が不足
  • 参加の公平性が担保されていない

これらは単なる運営の問題ではなく、教育政策としての根幹に関わる事項です。

だからこそ、今後の進捗を見極めつつ、生徒が安心して青春時代を過ごせるようにしたいと考えています。

■ 保護者・児童生徒の皆さんへ

現在、中学1年生、小学生のみなさん

来年の9月には部活動は廃止され、プレみやに移行します。しかし、みなさんが安心して活動できるようなものになっていないと判断した場合、議員として強く反対する考えです。

逆にいうと、来年の9月にプレみやがみなさんにとって、好きなことを目一杯できる活動になるように、議員として取り組んでいきたいと思います。

保護者の皆様にとっても様々な不安があろうかと思います。

これまで長く続いてきた部活動が終わることに寂しさを感じている方や子供達の活動に対して不安に思っている方もいらっしゃることと思います。

ぜひお気軽にご相談いただければ幸いです。

■ おわりに

「プレみや」は、新しい部活動の形を探る挑戦です。

しかし、挑戦には慎重さが必要です。

今後も保護者の皆さまの声をしっかり受け止め、安心して任せられる制度設計を求め続けていきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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