頑張っている職員が報われる制度を目指して 「会計年度任用職員について」 令和6年6月議会一般質問③
こんにちは。
西宮市議会議員の坂本龍佑です。
9月の議会も始まりまして、毎日様々な議員が登壇しておりますが、今回は私は一般質問の時間がありませんので、他の議員の発言を聞きながら勉強させていただいております。
とはいえ、この9月は令和5年度決算の審議がある議会でもあります。令和4年度に引き続き多額の赤字決算であることが発表されており、これについてもブログで報告したいと思っているところです。
ただ、6月議会で6項目も質問したので、その報告がなかなか済んでおらず、今日は3つ目の質問である会計年度任用職員についての報告となります。
動画もアップロードしておりますので、こちらも併せてご覧ください。
目次
1.会計年度任用職員ってご存知ですか?
2.会計年度任用職員の公募ルールが設定されていない!?
3.人事評価の評価が下位5%でも関係ない?
4.高評価の職員は、正規職員に登用すべきでは?
5.質問① 会計年度任用職員の能力実証について
6.質問② 国の方針と異なる制度運用について
7.質問③ 会計年度任用職員の正規登用と採用の年齢制限の撤廃について
8.再質問 能力実証と下位評価者の公募について
9.まとめ
会計年度任用職員ってご存知ですか?
いや知らない。っていう方が8割ぐらいではないでしょうか。
恥ずかしながら、私も議員になることを考え始めるまで知りませんでしたから、知らなくて当たり前かなという気もします。
ということで会計年度任用職員とはなんなのか簡単に説明すると、
業務繁忙期や職員に欠員が生じたときなどに、職員の補助として1会計年度内を任期として任用される非常勤の公務員です。
要するに、単年契約の公務員と理解していただけばいいでしょう。
この制度は、国の主導のもと、令和2年度に始まったもので、まだまだ歴史としては浅い制度です。
西宮市では以前は嘱託職員と臨時職員という種別でしたが、これを合体させ、現在は会計年度任用職員A、Bに分けて運用されており、会計年度任用職員Aの人数が、約600名ほど。会計年度任用職員Bの人数が、約400名ほどで合計1000名ほどの方が働いています。
会計年度任用職員Aについては、近年増加の一途を辿ってきましたが、財政構造改善の一環で、5年間で60人削減することが発表されております。
そもそも会計年度任用職員とは単年度ごとに任用されるというのが、その制度の趣旨で、1年に1回更新されるものでですが、再任用が可能な制度になっており、長期で雇用されている方が多いというのが全国的な実態です。
待遇としては、給与は正規職員には劣るものの、一定の社会保障が適用されており、西宮市の会計年度任用職員の年収としては概ね350万円程度とされております。
では、この制度の何が問題と考えているのかというと
公募に関するルールが設定されていない
ということです。
先ほどまでの説明の通り、会計年度任用職員というのは、単年度契約です。
そして、総務省のHPに記載のあるQ&Aには、次のような記載があります。
簡単に抜粋すると、
会計年度任用職員について、再度の任用が想定される場合であっても、必ず公募を実施する必要があるかという質問に対して、
「まず任期ごとに客観的な能力実証を行うことが必要である。次に、選考において公募を行うことが必須ではないが、広く募集を行うことが望ましい。」
そして、国では、公募によらず従前の勤務実績に基づく能力の実証により再度の任用を行うことができるのは原則2回までとしている。その際の能力実証の方法については、面接及び従前の勤務実績に基づき適切に行う必要がある。
最後に、再度の任用については、平等取扱いの原則及び成績主義を踏まえ、地域の実情等に応じつつ、任期ごとに客観的な能力実証を行うよう、適切に対応されたい。
と書かれております。
これに対して、西宮市がどうなっているのかというと、会計年度任用職員Aの任用終了を行っておらず、公募が行われておりません。
解雇をバンバンやるべきだと言う趣旨ではないのですが、誰一人として任用修了をしないというのは、制度の趣旨に沿っておりませんし、任期ごとに客観的な能力実証を行ったうえで、できる限り広く公募を行い、そのチャンスを提供していくべきではないでしょうか。
要するに、国は能力が証明されるなら、3年までは雇用してもいいけど、そのポストについては再度公募しましょうね。と言っているのに、西宮市は全く公募されることなく、全員定年まで働けるようにしている。
ということなのです。
人事評価の結果が、悪くても関係ない
次に、西宮市では、能力実証という観点で、人事評価を実施しております。
その結果が、次の資料の通りです。
このように、95%程度の方が、15以上の評価を得ているのに対し、14以下の方が、3.7%、12以下の方が1.8%います。
そもそも会計年度任用職員に対する期待値がどこなのか明確な水準はありませんが、
本来公募が原則となっている制度において、下位5%に該当する人でも公募されないというのは、おかしいのではないでしょうか。
高評価の職員は、正規職員に登用すべきでは?
一方で、この結果を見ると、19、20といった高い評価を得ている職員がいることも事実です。
しかし、こんなに勤勉に働いていただいた方も同じ給与ですし、ボーナスにも影響がないとなるとやる気が出ますでしょうか。
さらに、会計年度任用職員の年代について調べてみると、以下のような結果になりました。
子どもが小学校に入学するタイミングや子育てが終わったタイミングなどで、勤務を開始する方が多いのですが、30代、40代の方もいらっしゃいます。
そして、先ほど掲載したように、20点満点の評価を受けている会計年度任用職員がいるのなら、そういう職員を正規職員に登用する道を与えることが職員のやる気向上につながると思うのです。
しかし、西宮市の事務職の採用は29歳未満が基準となっており、採用が難しい制度になっております。
また、昨今、正規職員の退職が増加していることを踏まえると、中途採用の採用年齢上限を撤廃することによって、より幅広い採用をすることが可能となりますので、優秀な人材を獲得できる可能性が高くなることから、有効な対策と考えます。
これらの前提を踏まえて、質問しました。
質問① 会計年度任用職員の能力実証について
坂本 質問①
西宮市の会計年度任用職員Aの制度において、国が求めるような任期ごとに客観的な能力実証が行われているか、行っているとするとその方法をお聞かせください。
市の回答
市では、令和2年4月より会計年度任用職員制度を導入し、それまでの非常勤職員であったいわゆる嘱託職員や臨時的任用職員のほとんどが会計年度任用職員に移行した。移行にあわせて、これまで正規職員にのみ実施していた人事評価制度を会計年度任用職員についても導入することにより、再度任用の際などの能力実証を行っている。
坂本の意見
人事評価が能力実証であるという回答でした。しかし、前述の通り、人事評価の結果、誰1人として公募になることはありませんので、おかしいですね。
質問② 国の方針と異なる制度運用について
坂本 質問②
公募によらず従前の勤務実績に基づく能力の実証により再度の任用を行うことができるのは原則2回までとしている。とありますが、西宮市では任用期間を定めない運用となっております。国の求める原則としての運用を行わない理由をお聞かせください。
市の回答
会計年度任用職員制度導入前の嘱託職員は、特別の知識や経験が必要な職として任用した職員であり、任用期間は1年間であるが、継続して任用してきた経緯があり、継続した任用を行ってこなかった臨時的任用職員とは異なり、制度移行後も会計年度任用職員Aとして、人事評価制度等を踏まえた能力の実証を行ったうえで、再度の任用を行っている。
会計年度任用職員Aにおいては、臨時的な業務に従事するものではなく、いわゆる正規職員に代わり、主に専門的な業務に従事することを念頭において任用していることから、継続した任用を行うことで安定的な業務の遂行に寄与しているものと考えている。
他方、同じ職員が長期に亘って同じ職務に繰り返し任用されることのデメリットも考えられることから、柔軟な配置などが可能となるような仕組みについて、検討していく。
坂本の意見
人事評価制度等を踏まえた能力の実証を行なった上で再度の任用を行なっており、専門的な業務に従事するので、継続した任用を行うべきだという考えが明らかになりました。
また、配置転換について言及しておりますが、早急に行うべきですね。ただ、国の求める原則論に反していることの理由と言えるかは微妙な回答ですね。
質問③ 会計年度任用職員の正規登用と採用の年齢制限の撤廃について
坂本 質問③
会計年度任用職員Aに対して、勤務態度が良好な場合、正規職員への登用の道を設けることがモチベーション向上につながると考えます。またそれに限らず、年齢制限を撤廃した採用を行うことが適正と考えますが、当局のお考えをお聞かせください。
市の回答
会計年度任用職員に対して正規職員への登用の道を設けることは、モチベーション向上に寄与すると考えており、会計年度任用職員を対象とした職員採用試験を実施している自治体があることは認識している。
一方、正規職員の採用については、「競争試験による採用が原則」とされており、会計年度任用職員だけを対象とした募集をすることは、整理すべき課題があることから、国や他自治体の状況なども含め、調査、研究していく。
「年齢制限を撤廃した正規職員の採用」については、上限年齢を引き上げた募集枠を設けて職員採用試験を実施している自治体もあり、優秀な人材確保の観点からも、ご提案の内容を含め検討していく。
坂本の意見
高知市のように、他市で会計年度任用職員を正規に登用しているところもあり、私は優秀ならば、何歳からでも正規に登用すればいいと思っていますが、まだまだ課題があるという回答でした。
当然ですが、1人でも会計年度任用職員を正規職員に登用すれば、大きな効果を生みます。
これまで、横並びで仕事をしてもしなくても変わらなかった給与が大きく変わるのですから当然です。
そして、そういう職員がいると、私も頑張ったら正規職員になれるかもしれないと考え、仕事を頑張るようになるというような流れを作っていきたいですね。
一方で、正規職員の採用年齢制限の撤廃については、前向きな回答となり、今後検討が進められていくでしょうから、期待したいですね。
再質問 能力実証と下位評価者の公募について
先ほどの質問①と②について、再度ご説明しますが、おかしいですね。
ということで、再質問です。
坂本 再質問
答弁では、人事評価を行うことが能力実証であり、公募しないことの理由であるとの答弁でした。
しかし、人事評価結果を見ると、下位5%の評価の職員も公募を行なっていないのです。だとすると、人事評価を行うことの意味はなんでしょうか。
下位5%の職員についても市の求める水準であるならば納得しますが、そうでないならば改めて公募を行うべきだと思いますが、再度ご見解をお聞かせください。
市の回答
議員ご指摘の、人事評価結果が標準より下回る結果となった会計年度任用職員の服務上の取り扱いについては、当局としても課題であると認識している。一方で、人事評価結果について、具体的に活用する基準を有していないこと等、整理すべき課題が多岐にわたるため、まずは柔軟な配置などが可能となるような仕組みについて、検討していく。
坂本の意見
標準より評価が下回る職員の取り扱いについて、課題だと認めましたね。
一方で、「人事評価結果について、具体的に活用する基準を有していない」という回答でした。
ふざけてますよね。何のために、能力実証って言いながら、活用する基準を持っていないって、人事評価やってるんだって思った職員の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
改めてですが、下位5%に限らず、公募に関する明確な基準づくりをすることは危機感を生む上でも非常に重要です。
そして、何年も働いて、新人の人に比べて間違いなく優位性があるわけですから、再度公募に申し込めばいいのです。
そうすれば、もう一度雇用される可能性も十分にあります。
だからこそ、明確な公募をする線引き・基準を設けて、誰しもが市役所で働くチャンスを得ることができ、頑張った人が適切に評価される西宮市になってもらいたいですね。
まとめ
今回は、会計年度任用職員についての一般質問の報告でした。
「会計年度任用職員の公募のあり方について課題があること」は認められた一方、「人事評価の活用基準を有していないという問題点」が露見しました。
また、配置転換を進めていくことが明言されましたが、この変化の激しい時代に配置転換ですら認められていない旧態依然とした体制は早急に見直される必要があります。
一方、これまで29歳未満という正規職員の採用の年齢上限を見直すという副産物もありました。
財政構造改善が進む中、人員の削減が必要であることは言うまでもありません。
しかし、人材は人財なのです。
だからこそ、一生懸命働く職員に報いるような制度設計は、どんな財政状態であっても目指していくべきです。
私は給与の一律カットには基本的に反対です。
「何歳からでも頑張った人が適切に報われる社会」「子どもからお年寄りまで、未来に希望が持てる社会」
私の考える理想の社会を、西宮市から実現していきたいと思います。
長いブログでしたが、最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!