西宮市の財政ってどうなの?③ 財政構造改善実施計画について (前半)
こんにちは。
西宮市議会議員の坂本龍佑です。
昨日で西宮市議会の12月定例会も終了しまして、いよいよ今年も終わりに向かっていることを感じております。
今回の定例会では財政構造改善実施計画についての質問が多くありました。
私も西宮市の財政ってどうなの?シリーズで2回ブログに書いていたところですが、それなりに反響もいただいておりますので、今回第3回として現状をお伝えしたいと思います。
パート①、パート②につきましては、以下のブログに記載しておりますので、ご参照ください。
さて、11月に示された財政構造改善実施計画ですが、以前からの流れで言うと、
基本方針によって大枠を示して、実施計画によってその詳細について提示したということです。
スケジュールを再掲すると、こんな感じですね。
スケジュール
・令和5年12月 【 済 】
所管事務報告「財政構造改善基本方針に基づく取組について」
・令和6年2月 【済】
所管事務報告「財政構造改善基本方針に基づく取組の大枠について」
・令和6年11月 【今回】
財政構造改善実施計画(素案)の作成
・令和6年12月~ 【現在募集中】
財政構造改善実施計画(素案)のパブリックコメント実施
・ 令和7年2月
財政構造改善実施計画の策定
ということで、今回実施計画の素案を示し、その内容を市民にも確認いただいて最終的な計画につなげていこうというのが、現在の市の考え方です。
またこの実施計画(素案)の募集期限は、12月25日までとなっております。
是非今回のブログの内容や計画をご覧いただき、皆様のご意見を届けていただけると幸いです。
そして、今回の計画が次のとおりです。
西宮市財政構造改善実施計画(素案)概要版がこちら
西宮市財政構造改善実施計画(素案)がこちら
まず、素案の概要版についてですが、財政悪化の要因という記載のあるところをご覧ください。
財政悪化の要因
市は、財政悪化の要因について、歳出、歳入の両面から二つずつ分析しております。
歳出から見た要因の一つ目が、「歳出総額の増」で、人件費や扶助費の増加、公共施設の老朽化対策、物価高騰による事業費の増加などにより、歳出総額が増え続けています。とあります。
次に二つ目が、「扶助費など社会保障関係経費の増」で社会保障関係経費(介護保険、後期高齢者医療、障害者介護、保育施設の運営等による支出)が大幅に増加しています。とあります。
次に歳入から見た要因の一つ目が、「歳入の増は歳出の増に見合っていない」とあり、市税を含む歳入は増えていますが、歳出の増加に見合うだけ増えていません。とあります。
次に二つ目が、「市民税における寄附金控除額の増」ということで、ふるさと納税による寄附金控除の増加により市税が流出しています。とあります。
皆様これをご覧になって、疑問に思うことはありませんでしょうか?
そうです!
そんなんどこの自治体も同じように課題を抱えているでしょ?っていうことなんですよね。
一つずつ分析してみます。
市の考える財政悪化の要因は正しい分析なのか(歳出)
◯人件費の増加
言うまでもなく増加しております。しかし、近隣他市を見渡すとどの自治体も増えているわけではないというのが、実情です。
✖️扶助費の増加
近隣市を見てみるともれなく増加しております。ということは、西宮市だけが財政難に陥る原因とはいえないということかもしれません。
◯公共施設の老朽化対策
まず老朽化してくるのって普通は想像つきますよね。また、公共施設の数が多く、西宮市公共施設マネジメントにおいて、総量の縮減目標として、R14 年度までに 3.26%(5.22 万㎡)以上、R44 年度までに 20%(32 万㎡)以上縮減に取り組んでおりますが、平成 21 年度(約 160.05 万㎡)と比較すると、約 2.02%増(約 3.22 万㎡)となっており、実際には増加していることから、計画を着実に実行してこなかったというのが正しいでしょう。
✖️物価高騰による事業費増
西宮市だけが物価高騰しているわけではありません。当たり前ですよね。
と言うように、歳出増について要因を見ていくと、人件費の増加と、公共施設の老朽化対策は西宮市独自の課題であることがわかる一方、扶助費の増加や物価高騰という要因を分析に挙げていると言うのは、恥ずかしいと思います。
市の考える財政悪化の要因は正しい分析なのか(歳入)
次に、歳入の面から見た要因について紐解いていきます。
✖️歳入の増は歳出の増に見合っていない
これっておかしいですよね。
本来、歳出に歳入が追いつかない場合は、地方交付税によって補填されます。過疎地域において、歳入が年々減少し、歳出は高齢化で増加しているなんて言うことはよく見られます。
そのため、本来は歳入に見合った歳出削減を行ってこなかったと言うのが、正しいのではないでしょうか。
二つ目です。
△市民税における寄附金控除額の増→ふるさと納税の流出
30億円歳入が減ったようなグラフを用いておりますが、75%は地方交付税によって補填される制度になっております。
つまり、30億円減ったわけではなく、7.5億円減少していると言うのが正しい理解です。
このような事実誤認を招く表現は慎むべきだと思います。
確かにふるさと納税による歳入減は要因の一つでありますが、流入が1.8億円程度あるため、7.5-1.8億円=5.7億円の流出ですから、1134億円の一般税源に占める割合でいうと、0.5%ぐらいのものです。
これが財政難の原因だと言う分析をされたら、こちらも困ってしまいます。
よって、歳入についての要因として、歳入が歳出増に見合っていないというのは、事実ではありますが、他の表現を用いるべきですし、ふるさと納税の流出によって、財政難というのは、少々無理のあるロジックだと感じます。
そして、このままでは令和9年度には財政基金が枯渇してしまうため、取り組みを行わなければならないというのが、今回の財政構造改善の導入部分となります。
ということで今回は財政構造改善実施計画の素案の報告のはずが、各論に入る前に、要因の分析がおかしいと言うところまでになってしまいました。
次回は、具体的な取り組みについてご報告させていただきたいと思いますが、12月25日までに皆さんは是非実施計画全体を見ていただき、ご意見をお寄せいただければと思います。
本日はこの辺で。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。