西宮市の財政状況ってどうなの?② 〜財政構造改善基本方針に基づく取組の大枠について
今回は、西宮市の財政状況ってどうなの?②として、令和6年2月13日の総務常任委員会で示されました財政構造基本方針の大枠について書いていこうと思います。
以前に書いた西宮市の財政状況ってどうなの?①がそれなりにアクセスしていただいているようなので、初めて読む方は①も併せてご拝読いただけますと幸いです。
さて、今回発表された「財政構造基本方針の取組の大枠」というものですが、要は西宮市の財政を建て直していくためにこういう取り組みをしていきますよ。という内容です。
以前のブログでもお伝えした通り、西宮市の実質単年度収支の赤字は42億円となっており、年間で40億円を超える収支改善をしないといけないという状況が明らかになっております。
そんな中、政策局に財政構造改善推進部という部が新設され、部署の垣根を超えて、必要な施策の見直しが進められており、今回はその大枠を示すというものでした。
↓がその資料です。
概略は次のとおりです。
目標:単年度で40億円以上の収支改善
取組期間:令和6年度から10年度までの5か年(令和11年度からの収支均衡)
スケジュール:
・令和5年12月 【 済 】
所管事務報告「財政構造改善基本方針に基づく取組について」
・令和6年2月 【今回】
所管事務報告「財政構造改善基本方針に基づく取組の大枠について」
・令和6年11月
財政構造改善実施計画(素案)の作成
・令和6年12月~
財政構造改善実施計画(素案)のパブリックコメント実施
・ 令和7年2月
財政構造改善実施計画の策定
こんな感じです。
まず、これに対して思ったのは、
ん?取組は令和7年2月で終わるのか?という点です。
そもそも財政構造の改善が必要になったのは、これまでの取り組みに問題があったからなわけです。
じゃーそれをどうやって「構造」改善していくのか。ということで、
この部署はいつまで継続していくものなのか。常設化したほうがいいのではないか?
という内容の質問した結果
財政難に陥った理由として、財政に絞った対策ができていなかったことが反省と考えていることから、財政構造改善に対する部署を常設することが望ましいと考えている。
という内容の答弁をもらいました。
何度かお伝えしているのですが、行財政改革は財政が厳しい時にだけやるものではなく、常にやる必要があるものです。
だからこそ、今回のこの答弁は評価に値するものだと感じておりますが、逆になんでこれまでできてないんだ。
という感想を持つものでした。
次に、個別具体的な取り組み内容について、ご紹介していきます。全てご紹介するのは、長文になりすぎますので避けまして、気になった項目や効果額の大きい項目取り上げていきます。
個別の取組方針
まず、こちらが、全体像です。
歳入増/中央病院跡地、保育園の土地の無償貸与
まず歳入増については、市有地の売却が多くを占めております。
どの土地を売却するのかという点については、明らかにされておりませんが、すでに決定している土地活用計画の見直しということで、中央病院跡地活用方針の見直しというものがありました。
再三ご紹介しておりますが、こちらは令和5年6月議会での私の一般質問の内容が採用されており、嬉しく思っています。
また、他の委員からの質問の中で、保育園の土地の無償貸与についても検討が必要だという旨の答弁がありました。
もしよかったら、過去の一般質問のブログもご参照ください。
個人的な試算ですが、中央病院の跡地をクリニックモールと分譲マンションの複合施設の整備を条件に売却するみたいなことをすれば、当面の財政状況は大幅に改善します。
土地の面積が3000坪で相場的には、200万円/坪で売却できるでしょうから、60億円になります。
また、入院設備の必要がないことさえ我慢すれば、様々な医療機能を備えるクリニックモールには、不動産の一般的マーケットで考えても、それなりの賃料負担力があることから、現実的に可能かと思っています。
めちゃくちゃ粗々な概算なので、委員会では言っていませんが。
市営住宅駐車場の契約率上昇について
次に、市営住宅駐車場の契約率の上昇についても発表がありました。
これについては、怒っています。
令和4年12月の一般質問で取り上げ、「30台未満の市営住宅駐車場についての外部貸しを国と協議すること」や「現地への看板設置」「HPへの掲載」を約束しました。詳細は↓のリンクより。
しかし、外部貸しの協議については、全く進んでおらず、看板設置には1年かかったことと報告を受け、あまりにも酷いと苦言を呈しました。
そして、今回の財政構造で、項目出し。
そりゃ財政難になるわなと思います。
改めて、市営住宅の駐車場は外部の方でも借りられる!ということをリンクとともに伝えます。
https://www.nishi.or.jp/kurashi/sumai/boshu/mokutekigai.html
施設使用料の見直し
施設使用料の見直しについては、どの施設をどのように検討するのかということは示されておりませんが、基本的には市の施設を利用する際の利用料は上がると考えていただければと思います。
以前から余りにも安すぎる市民館や公民館、グラウンド、テニスコートの利用については、ある程度の受益者負担を求めるべきだと考えておりましたが、このタイミングで出てくるとちょっと印象が良くないですよね。
市民の地域活動の拠点となりうる場所ですので、丁寧に説明してご理解いただけるように要望しております。
ふるさと納税
ふるさと納税については、多くの議員から言及がありました。
ふるさと納税による西宮市の市税流出は31億円となっている一方、流入額は1.8億円程度と大きな流出になっております。
31億円のうちの3/4は国からの交付税による措置があるので、実質的には7.7億円程度の流出で、流入との差引で約6億円ということになります。
よく制度自体がおかしい!というような声も聞きますが、全国的にこの制度によって、地方自治体の「稼ぐ力」は伸びており、努力次第では収入を得られる可能性があるという意味ではそこまで悪いものだとは考えておりません。
しかし、西宮市の流入額1.8億円を大幅に伸ばす必要性は感じており、そのために設置されたタスクフォースには期待しているところです。
ただ、聞いた限りだと、あまり明確な目標設定がされていないようで、そのタスクフォースの頑張るモチベーションになっているのかは結構疑問なんですけどね。。
歳出減/ペーパーレス化の推進
ペーパーレス化の推進についても、明確な目標設定がされて、進められているところです。
これについても、令和4年6月の一般質問(初めての一般質問)で、ペーパーレス化に対して目標設定するように求めた結果、順調に進んでいるようです。職員からも無駄な印刷が減って、業務改善されているというような声も聞こえており、少しでも役に立てているのかなーと思っているところです。
どちらかというと、コストというより業務改善ということなので、大きな効果としては示されていませんが、長時間労働の減少に寄与していると思います。
やっぱり物事は明確な目標設定と、それに向けたアクションプランだとつくづく感じます。
内部事務経費の削減
財政効果額:R6〜10 12億〜15億
こちらはかなり大きな金額の削減が想定されています。
令和5年6月にボストンコンサルティングと契約した内部事務適正化のためのコンサルがうまく行っているような感じですね。
https://www.nishi.or.jp/shisei/gyoseikeiei/gyoseikeieisuishin/naibukeihipuropo.html
方法については、様々な議論を呼びましたが、コスト削減を継続していけるのであれば、なかなかいい取り組みをしたということなので、最終的な報告を待ちたいなと思っています。
計画等策定業務の見直し
これについては、前からずっとなんで行政ってこんな計画多いんやろうかと思っていました。
しかも一つの計画に下手したら100ページぐらい費やしているんですよね。
恐らくですが、会派ぜんしんのたかの議員が取り組んでいた一般質問の成果が出たのかなーと思いながら聞いていましたが、法律で作成が義務付けられたものや補助金の対象となるもの以外の計画は原則として作成しないという方針が示されました。
↓たかの議員のブログのリンクをお借りします。
https://ameblo.jp/takanostyle/entry-12815950370.html
優秀な職員の手がそっちに回って、本当に必要な市民サービスにまわっていないのでは?と思っていたので、大変嬉しいです。
自分の言ったことばっかり実現しました!って言いたいところですが、こうやって様々な議員が言ったことが実現しているというのは、市民の皆様にも知ってもらいたいなーと淡い期待をしております。
人件費
財政効果額:R6〜10 30億〜36億
人件費については、今年度の総務常任委員会の施策研究テーマで、「定員管理計画」について取り上げておりますので、後日そちらに譲ることにしますが、R6〜R10で30億円以上の効果を見込んでおります。
確かに西宮市の職員の人件費総額は他市に比べて多いので、ある程度当然かなと思っています。
しかし、人事院勧告(国からの通達に基づいた賃上げ)によって、4.4億円ほどは単年度で人件費が上振れることが予想されており、更なる抑制は必要になってきそうです。
幼児教育・保育のあり方に基づく公立幼稚園・保育所の再編
財政効果額:R6〜10 15億〜16億
公立幼稚園・保育所については、昨年順次こども園に移行し、統廃合していくことが発表されておりましたが、跡地売却によって、財政状況を改善させるという発表がありました。
これについては、様々な意見がありますが、正直に申し上げると、わざわざ公立のこども園作る必要あるかな?というのが正直な感想ですが、少子化の中で、少しでも対策を進めていくことを期待したいと思います。
事務事業の見直し
財政効果額:R6〜10 10億〜15億
その他にも様々な事業が見直されます。
他市に比べて過剰サービスになっているものや西宮市の独自政策の取り止めなどです。
まだはっきりしていないものもたくさんありますが、50項目を超えるような見直しを検討しているということです。
市民相談やゴミの受付、高齢者の健康診断など多岐に渡りますが、こうしたものの積み重ねが、財政構造の改善に繋がります。
市民の皆様には、多大なるご迷惑をおかけしますが、ご理解賜れますと幸いです。
総括
色々と、今回の財政構造改善に関して書いてきましたが、今回の提案に対する総括として、個人的な意見を書いていきたいと思います。
今回の財政構造改善においては、単年度で40億円の改善を目指すという目標に対して、R11年時点で33〜40億円の見込みとなっており、今後の社会保障費の増加、施設の更新に対する建築費の増加ということが、のしかかってくると更に厳しい財政状況になるため、そんな対策では全然足りないじゃないか!という声も聞こえてきているところです。
しかし、この大枠という意味で言うならば、個人的には及第点の60点ぐらい上げてもいいんじゃないかなと思っています。
もちろん単年度で40億円のマイナスを解消していく必要があるのは当然ですが、昨年の11月にできた新設部署が中心となって、ここまで積み上げたのは評価できると考えております。
それよりも本音としては、なんでこんなすぐに対策できることをコツコツとやってこなかったんだろう?の方が思いとしては強いです。
今回の答弁の中で、なぜこれまで行ってきた行政経営改革においてできなかったのかと言うことに対して、「財政に特化していなかったから」という答弁には正直呆れましたが、新設部署が中心となって、財政に対してメスを入れていくことを期待して、終わりたいと思います。
繰り返しになりますが、これはスタートです!
西宮市が財政を立て直し、市民サービス、住民福祉の拡大を実現するために、これからも尽力していきます!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
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