市立中央病院の跡地活用について 令和5年6月定例会 一般質問⑤

こんにちは。

西宮市議会議員の坂本龍佑です。

8月に入ってまさに猛暑、酷暑ですね。

昨日、市政報告の作成が終わり、自宅に届いたところですが、ブログでの一般質問の報告は今回で最後です。

アクセス解析をしているとリゾ鳴尾浜の今後についての記事が人気なようで、毎日数十人に見ていただいているようですが、そんな市民の皆様の関心に応えるような記事も書いていきたいものですね。

さて、今回の質問は市立中央病院の跡地活用についてです。今回のテーマは、

福祉施設を中央病院跡地に整備することで、20億円の機会損失!?

ということです。

まず、西宮市立中央病院は、門戸厄神駅の近く、中津浜線沿いの病院で、県立西宮病院との統合が決定しております。

場所は↓

https://goo.gl/maps/fghAMTn7grfWe2Am8

先日、統合病院の起工式が行われ、私も出席させていただきました。

統合病院について詳しくは↓

読売新聞記事
https://www.yomiuri.co.jp/local/hyogo/news/20230704-OYTNT50018/

兵庫県の統合病院説明サイト
http://www.nishihosp.nishinomiya.hyogo.jp/new_hosp/

とこんな風に2026年の開院を目指して、着々と準備を進めているところです。過去に病院統合については、様々な意見もあり、こうやって身を結んだことを考えると、感慨深いものがありますね。

政治は本当に身近なところにあるんだということを実感するものでもあります。

前置きが長くなりましたが、今回の質問は統合病院の建設に伴って、閉院する西宮市立中央病院の跡地活用に関することです。

現在、西宮市から公表されている跡地活用の方針はこちら!

簡単に言うと、

民間医療機関を含む民間活用ゾーン 7000㎡

高齢者福祉ゾーン 3000㎡

子育て関連ゾーン 2000㎡

の三つのエリアに分けて、それぞれ跡地活用する。ということです。

まず、民間活用ゾーンと位置付けられているところですが、市立病院がなくなることに伴って、地域住民から病院を誘致したいという声があったことを踏まえ、医療機関の誘致を予定しております。

これについては、確かに西宮市内の病院のほとんどは阪神沿線やJR沿線を中心としたエリアに位置しており、医療の空白地帯を作るということについて、賛同できる点が大いにあリます。また、西宮市は事業者に借地することを想定しておりますが、700円/㎡と相場と比較すれば半額程度(西宮市はこの価格を相場と同等と発表しております)ですが、公共性も高いことから問題ない計画と考えております。

次に、子育て関連施設ゾーンについては、この周辺は保育園、学童保育の待機児童も多く、まだまだ開発が予想される農地なども多くあることや、幼児から小学生までの一貫した幼児教育の体制を構築することで、新たな価値を創造するということでした。

これについては、西宮市が保育園や学童に土地を無償で貸与するということについては、異議を申し立てているところですが、必要性については認めるところであり、問題ないと考えております。

では、何を問題と考えているかというと、高齢者福祉ゾーンについてです。

高齢者福祉ゾーンについては、養護老人ホームと特別養護老人ホームを併設する予定となっております。

現在、西宮市は寿園という養護老人ホームを上ヶ原に有しておりますが、施設の老朽化と利用者の減少などの問題を抱えております。現在、直営ですが、これを民営化し、中央病院跡地に移設しようと計画しております。

ただ、養護老人ホームだけでは、規模的に小さく、運営していくことが難しいので、特別養護老人ホームと併設すべきと考えているというような流れです。

ちなみに、老人ホームの施設の特徴や経済シミュレーションについては、次の資料の通りです。

このように、高齢者ゾーンの地代は、222円/㎡を予定しておりますが、これは相場の1/8程度ということになります。

仮に、商業施設の用途で土地を賃貸した場合に、1500円/㎡ぐらいの地代が得られるのに、222円/㎡で貸すと、3000㎡なので、年間5000万円以上の機会損失を受けることになります。これを40年間続けた場合の機会損失は約20億円ということになるのです。

もちろん、どうしても特別養護老人ホームと養護老人ホームがこの場所に必要なのであれば、何の問題もありません。

こんなに高い地代が見込まれるところにわざわざ低い地代しか取れない場所に老人ホームを建てる必要はありますでしょうか。

念の為申し上げますが、老人ホームなんて不要だ!と言っているわけではないのです。

特別養護老人ホームが少ないのであれば、違う場所に建てるべきだと思うのです。

私も祖母が老人ホームに入っているので分かりますが、近隣に住んでいる方との交流は少ないですし、毎日のようにお見舞いに行くわけもないことを考えると、駅前で交通量の多い中津浜線の近くに建設するよりも、もう少し駅から離れた住宅街に建築するべきだと思いませんか?

そこで、西宮市の所有している土地で、代替地の候補となる場所がないか探してみました。

昨年度、市営住宅について研究していたこともあり、上ケ原四番町、八番町や一ヶ谷町、広田町といった市営住宅は令和12年までに建て替えの検討に入ることが予定されています。

次の資料②に記載の通りですが、それぞれの面積の合計は約60,000㎡にもなり、この中から3,000㎡を創出することは容易に感じます。

資料①の通り、スケジュール的には、若干の遅れの可能性もありますが、これらの市営住宅跡地を民間に借地した時に得られる地代は300円/㎡未満であることが想定されることを考えると、この場所に養護老人ホームや特別養護老人ホームを建築する方が、経済合理性が高いように感じます。

これらのことを踏まえて、質問しました。

坂本 質問①
西宮中央病院跡地に予定されている高齢者福祉ゾーンの特別養護老人ホーム並びに養護老人ホームの整備については、市に入る地代収入があまりにも安く、見直すべきではないか。

→西宮市 回答
病院跡地の瓦木圏域には特別養護老人ホームが少なく、早急に整備する必要性が高いと考えている。また、地域や事業者との意見交換を踏まえ、収益面だけでなく行政課題解決も視野に入れて検討した結果、現計画が最善の選択と考えている。

坂本 質問②
寿園を現地建て替えができないのであれば、中央病院跡地に移転するのではなく、上ケ原四番町、八番町や一ヶ谷町、広田町といった市営住宅の跡地に整備するべきと考えます。この移転提案における跡地の土地確保の可能性について、都市局のお考えをお聞かせください。

→西宮市 回答
これらの市営住宅跡地への移転は、入居者の退去の進捗などの事情が絡み合ってくることから、寿園の移設スケジュールには間に合わず、検討は難しいと考えている。

という回答でした。

瓦木圏域に特別養護老人ホームが少なく、どうしても必要だということですが、小学校や保育園ならまだしも老人ホームを狭いエリアの中にいくつ必要だと定めて、無理に建設する必要ってありますでしょうか?

それが、1km東に行ったら、そんなに問題でしょうか。

そんなに土地がこれまでにもなかったのかと思い、調べてみると、、、過去に雅楽荘という老人ホームが愛宕山にあり、これは瓦木圏域でした。

あるやん。。

3368㎡でどうしても必要ならば、ここに移転をすれば良かったはずですが、この跡地は土地開発公社に売却され、今は宅地開発が進められています。

さらに、市営住宅の移転についてはスケジュール的に不可能という話でした。

先ほどあげた市営住宅の建て替えは令和12年度までに一定の目安をつけるという方針にもかかわらず、今後5年間ぐらいで、入居者の退去を終え、解体できるような市営住宅は一つもないということなんですね。

↓にその計画を貼っておきますので、興味のある方は見てください。

http://chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.nishi.or.jp/kurashi/sumai/korekara/shiei-tatekae.files/sieijuutakutaisinka_dai2jitatekaekeikaku.pdf

じゃーこの計画ってなんやったんや。全然実現性ないんかよ。

ってなってしまうんですよね。

そういった矛盾があっても、そんな答弁してしまっていいのかなとかなり行政組織に対して不安を抱かされました。

しかも、どうしても早急に瓦木圏域に特別養護老人ホームが必要なのに、整備が終わるのは7年後でいいんですね。

7年後は早急なんですね。そして、7年後はOKなのに、市営住宅の跡地が確実に出てくるであろう10年後になったらダメなんですね。

すごいな。。

そこで、再質問です。

坂本 再質問①
どうしても瓦木圏域に必要だったなら、どうして雅楽荘に移転しなかったのか。

西宮市 回答
当時は2000人の特別養護老人ホームの待機者がいましたが、100床程度が一般的であり、50床程度の規模になることが想定されたため。
また、もしそこに建てていたとしても、病院跡地に新規施設が必要なことは変わりない。

当時からどうしても必要だったのに、そこに整備をしなかった理由になっていませんね。

普通、たくさんの待機者がいれば、少しでもその状況を緩和するために、新設を考えますが、それをしなかったということは必要性が低かったと考えられませんでしょうか。

にもかかわらず、病院跡地にはどうしても必要だというのは、矛盾しているように感じます。

次に、市の財政状況は厳しさを増している中で、経済性の話を財務局に対して聞きました。

坂本 再質問①
市の財政状況についてどう考えているのか。

→西宮市 回答
基金の取り崩しの必要性が見通されており、大変厳しい状況と認識している。

坂本 再質問②
私の試算では、約20億円、市の試算でも約6.8億円の経済損失となる地代収入の機会損失に対して、どう考えるか。

→西宮市 回答
行政課題の解決の為に総合的に判断したが、財政状況は厳しく今後市有地の活用を通して財源確保に努めていく。

このように西宮市の財政状況は過去と比較して、厳しさを増しているという認識で、市有地の活用で財源確保に努めていくという回答がありました。

ただ、今回の跡地活用は全くと言っていいほど、有効活用ができておりません。これで、今後の市有地の活用による財源確保を信用することはできますでしょうか。

ここまでの質問を踏まえ、最後に市長、副市長に再度この計画が適切だと思うのか聞きましたが、計画を見直すつもりはないという答弁になりました。

この辺のやりとりの時間をもっと確保したかったのですが、時間の都合上、議論をすることができませんでした。

結論として、跡地に養護老人ホームと特別養護老人ホームを誘致することは変わらないということになり、非常に残念です。

当然、そんな簡単に結論が変わると思っていたわけではないのですが、問題提起したかったことが市民の皆様や市の職員に伝わればと思います。

個別最適として、福祉施設を病院跡地に持ってくることは問題ないのかもしれません。ただ、土地代の高いところを民間に貸し、土地代の安いところに福祉施設を建てれば、それだけ財源に余裕が生まれ、他の事業をする予算になります。

個別最適ではなく、全体最適としてどうすることが政策効果が高く、住民福祉の向上に寄与するのか。

これを常に追い求める必要があるのではないでしょうか。

財源は有限です。市民の皆様からいただいているわけですから当然ですね。

そのために、今後も力を尽くしてまいりたいと思います。

長い文章でしたが、最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました!!

市立中央病院の跡地活用について 令和5年6月定例会 一般質問⑤” に対して4件のコメントがあります。

  1. はやざな より:

    県立病院と市立病院の統合の話って皇紀2675年くらいから俎上に上がってるんですよね。

    (たしかです、、まちがってたらごめんなさいm(._.)m)

    住民としてはいつまでやってんの??って思います。

    また、高齢者施設と、病院の話が同時に触れてましたが、一括して同じ敷地内に建設することは不可能なのでしょうか?

    そこにコンビニも込にしたら雇用も創出できますし、そのおかげで税収が若干ながらも増えると思われますので、めっちゃいいと思うんですけど。。。。

    1. 坂本龍佑 より:

      病院の統合については、令和8年度の竣工に向けて、工事が行われております。
      市立病院の解体はその後となります。

      高齢者施設を病院と同じ敷地内に作ることは、不可能ではありませんが、事業者が別で分かれている可能性も踏まえると、それが最善であるかどうかの判断は、一概にはしづらいものと感じます。
      令和4年度決算の赤字状況に鑑みて、この計画は再検討されることとなりますが、税収増と社会課題の解決の両面で寄与できるものとなるように、提言に努めてまいります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です