西宮市の職員の定員数のあるべき姿 〜定員管理計画について〜 part① 正規職員編

こんにちは。

令和5年度西宮市議会の総務常任委員会では、「定員管理計画について」研究を重ねてきました。

職員には、正規職員と会計年度任用職員がいますが、そのうちの正規職員についての研究結果を公表したいと思います。

各委員の提言書の内容につきましては、次のリンクをご参照ください。

そして、この提言書を踏まえて作成された定員管理計画が次のとおりです。

施策研究テーマとは

西宮市議会では、施策研究テーマというものがあり、令和5年度までは必ずテーマを選定し、各委員会において研究が重ねられてきました。

令和6年度からは必須条件ではなくなり、必要に応じて研究を行うという内容に変更になったわけです。

実際この取り組みは平成24年から始められ、その功罪については様々な意見がございました。

私は2年という大変短い議員生活の中で、私自身の研究において大きな意味があったと感じましたが、議員それぞれの思想によって、多様な捉え方があることや、提言書という形で、市に対して提言を行ったとしても、それが実際に市の施策に反映されないことを踏まえると、労力に対して成果が見合わないため、取りやめるという選択があってもやむを得ないのかなという気もしますので、悩ましいところではあります。

ただ、私自身が総務常任委員会の委員長として、令和5年度のテーマの選定から、様々な意見を聞いた上で、この定員管理計画についての報告をしたいと思いましたので、ご覧いただけると幸いです。

定員管理計画ってなに?

さて、「定員管理計画」についてです。

要するに、西宮市の職員の定数はどうあるべきなのか?ということです。

そんなこと言っても、多いか少ないかなんてわからないよと思う方が多いかと思います。

当然です。

例えば、西宮市には市立高校が2校あります。

以前に一般質問も行いましたが、同等規模の中核市の中で、複数校市立高校を持っているのは、5校だけです。

当然ですが、市立高校に勤務している教員は県立高校のように県が採用しているのではなく、市が採用しております。

その分だけ、他市よりも職員が多いことになります。

他にも、中央病院があったり、市立の保育園、幼稚園があったりすると、それによっても適切な定員というものは異なってくるわけです。

さらに、民間委託の割合によっても異なってきます。

西宮市ではゴミ収集については、一部直営で行っており、民間委託しておりません。こういうことによっても定員が異なってきます。

ということはどこまで行っても適正な人員は何人です!という答えが出るはずはないのです。

それでも、他市と比較して職員が多いということになると、その分だけ市民一人一人が負担する人件費は高くなり、実際に享受できるサービスの質や量が低下することになるので、そういう意味で定員がどうあるべきなのか論じることは大変大きな意味があります。

西宮市の定員って多いの?少ないの?

前提はさておき、気になるところに入っていきます。

西宮市の定員ってぶっちゃけ多いの?少ないの?

というところです。

まずは、こちらの資料をご覧ください。

定員管理計画からの抜粋となりますが、上の表は中核市の人口と職員数の分布です。

ご覧の通り、赤線の回帰直線より西宮市の職員数は多いということが読み取れます。

この表を見た感じですと、西宮市の職員数は3000名程度が適切であり、300人ほど多い。

と読み取ることができるわけです。

さらに次の表をご覧ください。

こちらは普通会計における人口1万人当たりの職員数の推移です。普通会計ですから、消防部門や教育部門の職員を除いたものです。

こちらを見てもわかるように、西宮市はH20年の段階で、中核市の平均よりも職員数が少なかったわけです。

それがH24年に中核市の平均を上回るようになり、R4年現在で、3.7人ほど上回っているということになります。

人口1万人あたりですから、約48.5万人の西宮市は、180人程度多いということになります。

他にも様々な検証がされておりますが、西宮市の職員は他市に比べて200人から300人多いんだということでご理解いただければと思います。

ちなみに、一人当たりの人件費は新規採用の時点で、概ね500万円ということで計算した場合、10億円から15億円程度年間の予算において、西宮市は財政負担をしているという計算になります。

現在の財政難の一端であるということは言うまでもありません。

定員管理計画はどう示されたのか

結果的に、今回の定員管理計画では、以下のように示されております。

今回の定員管理計画の作成準備が始まった頃は、市はそこまで税制状況について危機感を持っておりませんでした。

ただ、令和5年10月頃に令和4年度決算の赤字が大きかったことをきっかけに、石井市長が人件費の削減を打ち出しました。

https://www.yomiuri.co.jp/local/hyogo/news/20240216-OYTNT50013

200人で20億円を削減すると言う大号令のもと、定員管理計画の作成を大幅に厳しいものとし、令和11年4月1日までに、160人から170人を削減すると言う計画になりました。

この160人から170人の削減の中には、幼稚園の子ども園への移行による約110人の削減が含まれており、実際の削減は50人程度であると示されております。

意外と少ないんですよね。リストラを行うことは事実上難しいことを踏まえると、「退職不補充」が原則だからです。

退職不補充とは、定年退職した人がいれば、次に新しく入ってくることを抑制し、自然と職員を減らすという政策です。

その結果として、西宮市の新卒採用は令和5年度に132人だったのに対して、令和6年度が59人となりました。
一気に73人も減らしたことになります。

普通に考えると、阪神淡路大震災やリーマンショックなどのように、財政が急激に悪化したとすると、このように急激な採用減というのは、自然と受け入れられることだと思います。

しかし、現在の西宮市のように、多くの議員から指摘されていた財政難を放置した結果、このような急激な採用源となったことは、市の執行部の責任であると言わざるを得ません。(もちろんその予算を承認してきた議会にも責任の一端があります。)

では、定員管理をどうしていくべきなのか

私が示した定員管理計画に対する提言は次のとおりです。

正規職員の定数について

正規職員の数については、技能労務職、幼保公立園の再編による減少が合計約 110 人程度であることから、全体での 160〜170 人の減少は現実的なものと感じる。

正規職員の定数は退職不補充が原則であるため、これ以上の大幅な減少を期待することは難しいことから、不要な事務作業を減らし、過剰人員を生み出すことによって、民間委託をせずに、その業務に対して人員を充てるという取り組みを進めることも検討してもらいたい。

検討の方法については、他市との比較によるものが多いものの、今後の詳細な検討においては、部署ごとの必要人員の積み上げを行なった上で、必要な人員について議論していただきたい。

育休や疾病による休暇者の上昇は今後も予想されるため、人員不足になることも想像されるが、「いかに楽に仕事」をするのか考え、計画作成、資料作成、会議資料のペーパーレスなど細かいところから実施することによって、正規職員数の定数減を実現していってほしい。

民間活力の導入、事務事業の見直しについて

民間活力の導入については、昨今民間委託した結果、委託費が人件費を上回るということも考えられる上、再度直営にすることの難易度が高いという実情を考えると、人件費抑制のための民間委託ではなく、民間との競合によるサービスの向上が図られるものや、民間の知恵を活かすことによって、税収増や収入増につながる可能性が高いものについて、民間の知見を活かすことを検討してもらいたい。

事務事業の見直しについては、なにか新たな事業を始める場合には、既存の事業をやめる仕組みを持つことや、新たな事業を始める場合、効果検証の期限をあらかじめ明確にしておくことにより、無秩序な事業拡大を防ぐようにしていただきたい。

職員の働き方(DX、人事制度など)について

職員の働き方においては、DXによって大幅に業務改善することが可能であると感じる。

そもそも順番として、DXやAI、RPAなど検討すべき項目はたくさんあるものの、スタートとなるべきところは、その日常的・定型的な業務を自動化することが可能かどうかを各部局、職員が考えることにあると感じる。

また、それこそ横断型に内部統制の一環でタスクフォースチームを結成することによって、他部署の業務の効率化を手助けするような仕組みづくりを検討してもらいたい。

人事制度においては、業務効率の向上に対する評価として、必要人員を減少させたことに対する手当をつけるなどの手法によって、職員のやる気を引き出すべきである。

また、管理職に限らず、一般職についても給与に差をつける必要を強く感じる。そのためには、そもそもそれぞれの担当が求められている業務とはなんなのか。それに対する評価がどうなっているのかということを明確化し、被評価者に対して、きちんと明示する必要があると感じる。

まとめ

西宮市という行政は、正規職員3800人以上が働く、大変大きな組織です。

少しでも効率よく働いていただき、市民のサービスを向上させるために、尽力いただきたいと考えるのは当然のことです。

日本人の労働生産性が他国に劣るということを様々なところで目にしますが、日本人の勤勉さは間違いなく世界でもトップクラスです。

だからこそ、その勤勉な人たちが、懸命に働き、結果が残せるような制度作りをすることが市の執行部や議会の責任ではないでしょうか。

これからも活力ある西宮市の職場環境作りに力を注いでまいりますので、ぜひ今後とも職員の働き方にも興味関心をお寄せいただけますと幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です