市立高校の存在意義と他市からの流出入について 令和5年12月定例会 一般質問②

今回も令和5年12月議会の一般質問の報告です。

今回のテーマは、「市立高校の存在意義と他市からの流出入について」ということで取り上げました。

Youtube動画はこちらから!

市立高校とは。読んで字の如くですが、西宮市立の高校のことです。

西宮市には、市立西宮高校(通称いちにし)と市立西宮東高校(通称ひがし)があります。

高校って県立高校のイメージが強いと思うのですが、市立高校って割と珍しいんですが、兵庫県下にもそこそこあるんですよね。

よく比較対象になる西宮市と同規模の中核市の市立高校設置状況を調べてみると、

62市ある中核市における市立高校の設置状況
0校31市
1校25市
2校4市(西宮市など)
3校2市(姫路市、鹿児島市)

こんな感じで、市立高校を有しているのが半分で、複数持っているとなるとかなり珍しいということがおわかりいただけるのではないでしょうか。

ちなみに3校設置の姫路市では、2026年に向けて、3校を1校にするということが決まっており、少子化の影響はこんなところでも出ているんですね。

さてそんな中、大阪でのこんな記事を見かけました。

大阪市立高校って全部大阪府に移管されるんだったなー

一方、大阪市の資産を不当に大阪府に売却した。というような訴訟も起きていて、どちらが正しいかというと難しいよなーと感じました。

ん?そもそも市立高校ってどういうお金の負担になっているんだろうか。

市立高校って他市の生徒も通っているはず。

国の交付税や県の負担金、他市の負担みたいなものもあって、西宮市だけが負担しているようなことにはなっていないよな?

と思って、調べてみることにしました。

すると、次のようなことがわかりました。

ピンときていない方もいると思うので、簡単に説明します。

R4決算額→実際に市立高校の運営にかかった費用
一般財源→1年間の予算のうち、使途が特定されず、どのような経費にも使用することができる財源
基準財政需要額→地方交付税(国から市への交付税)の算定基礎となるもの

要するに、西宮市は18.5億円の一般財源のうち10.8億円については、国からの交付税で賄われています(計算上は)が、7.7億円については、補填されていないので、その分は市民の税金によって、賄われています。

という意味です。

なので、西宮市は市立高校を2校持っていることは、年間7.7億円の負担になっている。

ということになります。

いかがでしょうか。そりゃ当然だろって方もいれば、いやいや県立高校に移管すべきでは?という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

個人的には、別に市立高校で持っていてもいいけど、財源補填は国、県、他市からしてもらわないと割に合わないだろう。と思っております。

当然ですが、県立高校は県の予算編成のもとで成り立っております。県民の負担ですね。

でも、市立高校は市民の負担なんです。しかも県が学区の編成や統廃合の権限を持っているなら、市は県のいうことに従って、ただただ支出するだけということになります。

ただ、市立高校が西宮市在住の学生しかおらず、他市の生徒は受け入れないということなのであれば、話は別です。

そこで、市立高校に通う学生の居住地について、調べてみました。

その結果がこちらです。

ご覧の通り、市立高校に通う生徒のうち、26%は市外在住の生徒であることがわかります。

ということは、市立高校を有していることのコストが、年間約7.7億円であり、そのうちの26%の約2億円については、他市の生徒が市立高校に通うための費用ということになります。

いかがでしょうか。

他市の学生が通うために、西宮市民の税金の2億円が使われているのです。

なんだたった2億円という方もいらっしゃるかもしれませんが、私が令和4年12月に取り上げた「保育料の適正化について」では、第二子を一律に半額、第三子以降を一律に消化するためには、年間でおよそ2億5千万円の財源が必要で、財源がないので、やりません。(以下参照。)

西宮市 保育料の適正化について 令和4年度12月定例会 一般質問④

西宮市議会の令和4年12月定例会で、保育料の適正化について質問しました。 たくさんの子どもを育てる多子家庭において、子どもの年齢によって保育料の負担額が異なる制度…

という回答にあったように、予算は少しずつの積み上げで成り立っておりますので、年間2億円というのは、大きな金額です。

それならば、国、県、他市に対して、その負担を求めていくのが、公平な税制というものではないでしょうか。

例えば、西宮市の子どもが他市の保育園に通っている場合、事業者に行政から支払われる金額の負担者は、西宮市です。

つまり、西宮市の子どもの保育料を西宮市が負担しているということになります。

また、尼崎市の夜間中学校の広域受け入れの場合も同様に、居住地に応じて、その負担をそれぞれの行政が行なっております。

これらの条件を踏まえまして、以下3点について質問しました。

質問①
西宮市では、県立高校ではなく市立高校として有しておりますが、その必要性について当局のお考えをご披歴ください。

・西宮高校は自然科学系の「グローバル・サイエンス科」を設置し、科学技術や理科・数学教育に力を入れており、スーパーサイエンスハイスクールに指定されている。
・部活動にも力を入れ、全国高校野球選手権大会の開会式での役割などでも知られている。
・西宮東高校は普通科に数理・科学コースと人文・社会科学コースを設け、広大な敷地や充実した施設を活かして教育活動を展開している。
・両校は大学進学実績においても成功を収め、市内外から多くの受験生が魅力を感じて志願している。

といった答弁がありました。

正直に申し上げると、市立でなければならない理由というのは、若干疑問に感じました。もちろん他の自治体が費用負担してくれているのなら、問題がないのですが、そうでないならやはり見直すべきと感じております。

質問②
他市の生徒を受け入れることによるメリットとデメリットについてどう考えているのか、お聞かせください。

市立高校を市が設置する西宮市民のための施設と考えた場合、西宮市民と同じ条件で市外在住者へ開放することにより、公平な費用負担のあり方が問われている。しかし、高い志を持ち、社会に貢献できる優秀な人材の育成を図るうえで、市内外を問わず、本市の市立高校の教育内容や校風に魅力を感じている多くの受験生が志願し、入学していただくことが重要と考えている。

これについて、公平な費用負担に対しては、問題意識を持っているものの、多様な生徒が入学してくれることは、メリットが大きいと考えている。ということであり、妥当な回答かなと思いました。

質問③
市立高校を有していることによる当市の財政的な負担7.7億円のうち、他市の生徒が26%となっており、他市の生徒の負担額が約2億円となっていることについて、交付税措置、県への要求、他市の応益負担などを求めることが妥当と考えますが、当局のお考えをお聞かせ下さい。

市外生徒に係る応益の負担につきましては、応益負担の考え方を調査研究し、その効果及び課題等を把握・整理したうえで、高校教育の改革や校区の再編、入学者選抜システムを担う兵庫県に対する要望や提案など様々な観点から、市立高校に対する財政支援も含めた負担の軽減を求めてまいります。

という回答となりました。

大切なのは、最後の部分です。

というより、質問①、②はわざわざ市立高校を有していることについて、改めて考えてもらうための質問で、③で国、県、他市に対する費用負担をどう求めていくのかを明言してもらうために行いました。

結果として、市は兵庫県に対して、要望活動を行なっていくという答弁をしました。

これは非常に大事なポイントです。

なぜなら、これまで西宮市が他市の生徒を受け入れているのにも関わらず、それに対して特になんのアクションも起こしていなかったのが、今回の質問で兵庫県に対してアクションを起こしていくことを明らかにしたのですから。

そして、西宮市に限らず、兵庫県内には市立高校を有している市がたくさんあります。

尼崎市、伊丹市、明石市、姫路市、そしてもちろん神戸市にもあります。

西宮市が兵庫県に要望活動を行うだけでなく、その他の自治体も一緒になって、財政負担を県に対して求めていくことによって、公平で納得感のある税負担のあり方を研究してもらいたいと思います。

令和5年12月の一般質問においては、教育委員会に対して、2つの質問をいたしました。

変わるべきでないものと、変わり続けなければならないという相反する難しい課題もありますが、本来の目的がなんなのか。単なる現状変更を嫌ったものでないのか。ということを常に考えて、質問を行なっていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

市立高校の存在意義と他市からの流出入について 令和5年12月定例会 一般質問②” に対して1件のコメントがあります。

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