教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱の地区指定の見直しについて (一般質問③)

こんにちは。西宮市議会議員、政新会の坂本龍佑です。

先回に引き続きまして、6月定例会における一般質問の内容について報告していきます。

今回は三つ目の質問の「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱の地区指定の見直しについて」です。

全く市民の皆様にとって馴染みのない質問内容となりました。ただ、前職で不動産開発をしていた時代からずっと変えたいと思って、温めていた質問なので、読むのやめないでくださいね!!

以下記載が今回の質問要旨です。

1. 人口減少時代における開発抑制について
  1.マンション開発と小学校の教室不足の因果関係
  2.人口減少と開発抑制
2.大社小学校区における受入困難地域の指定について
  1.要綱運用時から地域指定がされていること
  2.北側隣地の取得への取り組みとその結果
  3.教室不足解消に向けた取り組み内容
3.高木北小学校、高木小学校の準受入困難の指定について
4. 香櫨園小学校、春風小学校、安井小学校増改築と準受入困難の指定について
5. これからの本要綱の運用方針

なお、動画については、以下のサイトで一般公開されております。併せてご覧ください。

https://smart.discussvision.net/smart/tenant/nishinomiya/WebView/rd/schedule.html?year=2022&council_id=35&schedule_id=5

まず、「教育環境保全のための住宅開発抑制」とはなんだ?という話なんですが、「要は小学校、中学校が子どもが増えたことによって、パンパンになったので、ファミリー向け住宅開発(特にマンション)を控えてください。」

ということです。

賛否両論のあるテーマですし、実際にマンションの増加によって、学生数、クラス数が増えて、学校がパンクしそうになったこともあります。

ただ、そんな話は西宮市に限ったことではありません。東京都の湾岸部や大阪市内のタワーマンション、近くだとJR尼崎駅、JR塚口駅の周辺などマンション供給が急激に増えているエリアは他にもあります。

そうした中で、西宮市でも他市と同じように人口減少時代がスタートしております。また、少子化は進行する一方で、他市では移住促進、結婚する人を応援するなど、人口獲得競争が盛んに行われています。

そんな状況下においての「教育環境保全のための住宅開発抑制」です。

実際に行われている施策としては、

「受入困難地区の大社小学校区ではマンションは9戸までしか建てられません。」

「準受入困難地区の高木、高木北、香櫨園、安井、夙川、春風、深津小学校区ではマンションは29戸までしか建てられません。」

といったものです。何が問題かというと、この状態が、長ければ17年間続いていることなんです。

最近でしたら、市立病院と県立病院の統合によって、市立病院の跡地をどうするかという議論や江上町の市営住宅、保健所、市役所の江上庁舎の統合などの大規模土地の活用の際もこの要綱がネックとなり、あるべき都市計画を阻害しております。

他にも、17年間大社小学校校区ではファミリーマンション向けの土地として売却することができません。本当だったら、10億円で売れるのに、5億円でしか売れないことがあります。

ファミリーマンションが建つはずだったところに老人ホームや学生向けのワンルームマンションばかりが建ち並ぶことになります。(香櫨園小学校の南側は老人ホームだらけです)

本当だったら、40戸のマンションが建つはずだったのに、29戸に抑えられることになるので、1戸ずつの金額が高くなります。(西宮市内のマンションは29戸の物件がたくさんあります)

そんな状況は文教住宅都市として、そして住みたい街ナンバーワンだと言われる西宮において、本当に望むべき状態なのでしょうか。

現在戸数規制が設定されているのは次の表のようなエリアになっています。

多くの小学校において、ピークアウトしていることが分かると思います。それでも尚、厳しい制限を続けている現状がお分かりいただけると思います。

私は、この状態を絶対に変えたいと思い、今回の質問に挑みました。

質問がかなり多数に渡ったので、割愛して記載します。

質問①
大社小学校区では、17年間に渡って規制が続けられ、その間に校区変更も実施されています。当地区には風致地区が指定されているが、都市計画の変更などの方法を用いて、現在の教室不足の緩和を検討できないか。

回答
現在の敷地では困難である。教育環境を保全していくためには、現在の方法が最善と考える。

前述のように大社小学校区では17年間に渡って、規制が続けられています。その間、土地の売買を実質的に制限し、校区変更によって地域分断を行っています。

校区変更は最終手段です。何十年も大社小学校に通っていた方のお子様が急に違う小学校に通うことになるなんて言うことは本来あってはならないはずです。

今回は、大社小学校区について、踏み込んだ対話ができませんでしたが、都市計画によって、小学校がパンパンならばそれを変更するといった抜本的な解決方法を見出せるように引き続き提言して参ります。

質問②
高木小学校、高木北小学校については、瓦木中学校の教室不足の為、規制が続けられているが、瓦木中学校においては、令和6年度に新校舎の稼働が予定されている。
一般的にマンションの建設には土地売買から2年かかることを考えると、現在の規制を続けていることの意味がないと考えるが、令和4年12月のタイミングで見直すべきではないか。

回答
当該地域には住宅開発が可能な土地が多数存在するため、地区指定を直ちに解除することは困難だが、今後は、児童数等の減少により、地区指定の緩和について、一定の範囲において見直しが可能だと考えており、検討を進めていく。

少しはまともな回答を得ることができました。

ただ、質問の回答になっていないですね。

高木北小学校は高木小学校の分校として建てられたわけですから、空き教室がたくさんあることは自然なことなはずですし、住宅開発可能な土地が多数存在するから新しい学校を建てたのではないでしょうか。

そして、建築に最低2年かかるため、マンションに居住し始めるのは校舎完成後なので、住宅開発が可能な土地の存否は関係ありません。

12月に適切な緩和がされるように、提言を続けて参ります。

質問③
香櫨園、安井、春風小学校では、近年増改築が行われ、教室数を増加させているが、準受入困難地区の指定が続いている。なぜ解除できる程度までの大幅な増改築を行わないのか。

回答
香櫨園、春風小学校については、30クラスを超える過大規模校であり、安井小学校は児童一人当りの運動場面積が非常に少なく、児童数推計のピークも越えていないため地区指定を緩和していない。

またあるべき論になってしまいますが、本来ファミリーマンションの建築を規制することは、都市計画のあり方としては正しくないと考えています。

過大規模校なので、解除していないと言っていますが、樋ノ口小学校も30クラスを超える過大規模校になる見通しですし、そんなものは全国至る所にあります。

教育委員会は教室の逼迫についてのみを議論しており、西宮市全体として都市をどうしていきたいのか、人口減少時代において必要な対策を講じていくように求めていきたいと思います。

まとめ

一般質問の3回目ということで、「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱の地区指定の見直しについて」という馴染みのない内容となったかと思います。

このテーマは、マンションなんていらないんだ!と考えている方にとっては、反対の立場を取られる方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも教室不足なので、マンション開発を控えてほしいという教育委員会の意見を否定するものです。

令和4年12月に今回の提言に関する見直しの結果が発表されます。

この要綱の緩和は、準受入困難地区以上の規制だと平成23年から11年間も緩和されていません。

今回の私の一般質問によって、少しでも緩和される機運が高まれば、嬉しく思います。

まもなく9月議会が始まります。もう少し市政全体のことについても発信していきますので、これからもご期待をお寄せください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

是非多様なご意見をお寄せいただけると嬉しく思います。

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